私がイエス様を信じたのは

布池カトリック教会信徒 山本 好文


 僕が、ある滋賀県の山の中の建設現場で働いていて、現場でいざこざがあり、いやになってその現場から逃げ出したときのことです。逃げ出したのは良かったのですが、その現場は本当に山の奥深いところにあったので、なかなか幹線道路に出ることができません。一体、何キロ歩いたか分かりません。足が痛みだし、夜も九時ころになって、ついに、一歩も歩けなくなってしまいました。しかたなしに、田んぼ道に横になって寝ることにしたのです。気がつくと、誰かが、私のそばに立っていて、こう言いました。「起きなさい。ここで寝ていては風邪をひきますよ。」私はびっくりして起き上がると、ひげをはやした男の人でした。その時はその人が誰かわかりませんでした。「こんなところで寝ているなんて、一体どうしたのですか?」と聞くので、それまでの経緯を話しました。
 その男の人がうんうんとうなずいた後、「この道を五キロぐらい行くと教会があります。それでも分からなかったら、十字架が見えてきますから、そのそばの立て札を目当てに行けば分かります」と教えてくれて、去って行きました。
 私は、それを信じて歩いてみました。するとどうでしょう。その通り屋根の上に十字架が立った教会があり、玄関のところの立て札に、こう書いてありました。「すべて重荷を負うて苦労している者は、わたしのもとにきなさい。あなたがたを休ませてあげよう。」あの男の人の言ったとおりだったので、私はびっくりしました。私は玄関の前に来たものの、ブザーをならすかならすまいかと迷いました。そして、ならすことができず帰ろうと思って歩き出したその瞬間、扉の開く音がしました。振り返ってみるとそこに牧師さんとその奥さんが立っていました。「どうしたのですか?」と聞かれたので、男の人に言われてここへ来たと答えると、「どうぞ、ここで休んで行きなさい。あなたのことは聞いています。」と言われました。私がその男の人が誰だったのか不思議に思ったので聞いてみると、「その方はイエス様です。あなたを救ってくれたのです。イエス様についていきなさい。きっといいことがあります。」と言われました。私は「はい」と答え、その夜はそこで休ませてもらいました。
 翌日の朝、五時半頃、牧師さんの奥さんが私を起こしに来て、「山本さん、お早うございます。一緒にイエス様にお祈りいたしましょう。」と言われました。一生懸命お祈りしました。そして、朝食をごちそうになった後、大津の駅まで送って下さいました。交通費を二千円渡してくれたので、「お金は必ず返します。住所を教えてください。」と言うと、牧師さんは、「そのお金は返してもらわなくてもいいです。それより、元気でいつまでもイエス様とともに生きていきなさい。悩んだとき、寂しいときはイエス様にすがり、祈りなさい。きっといいことがありますよ。」と言ってくださったのです。そして駅のホームまで牧師ご夫妻が見送ってくれました。私は涙が止まらなくなり、心の中で何度も言いました。「イエス様ありがとう」と。
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