名古屋市長       松原 武久 殿
名古屋市民生局厚生部長 糸柳 元英 殿

「ホームレス自立支援策」への提言と要望書

私たちは1975年以来、名古屋で野宿生活を強いられている人々(以下、野宿者と略。)への炊き出し活動などを通して野宿者が人間として尊厳ある生活を回復できるよう手伝いを続けているキリスト教系ボランティアグループです。また、十数年に亘って、議会請願、要望書提出、委員会からの求釈明の場での意見発表、民生局との話し合い等も行って参りました。
この度、政府の「ホームレス問題連絡会議」において野宿者の自立支援、等の対策が取りまとめられたことは、その第一歩として評価できることです。
さて、名古屋市におきましては、野宿などしなくてもよいような根本的・抜本的対策を目指して真の、血の通った野宿者の自立支援策が行われるよう私たちは今後も微力ながら協力をいたします。その実施にあたって以下の諸点を提言し要望する次第です。

  1. 自立支援センターの設置・運営にあたっては、行政、当事者、支援民間団体、地域住民と協議する場を設置すること。
  2. また、支援民間団体との話し合いを前向きに検討し、その(民間の)既存の施設の有効活用のために財政面での助成も検討して頂きたい。
  3. 名古屋市が国に要望した「住所不定者が円滑に診察・入院できる様、病床確保・協力料の支給を行っているがその費用の助成を要望する。平成9年度決算1906万4千円」に関しては、そのような支給は医療機関の野宿者への差別・偏見を助長するものであり、また、納税者として容認することができない支出と思いますので取り下げて頂きたい。むしろ、自立支援事業内容の充実化によって野宿者が、普通に医療機関にかかれるよう機能の充実化を図ること。
  4. 同じく「不適正使用排除のためには、現行体制としては行政代執行法しかないが、実務上大変難しいため、即時強制を可能とするような法制度の改正の検討が必要である」に関して、これは自立支援策には逆行するものであり、また、いたずらに排除を繰り返す以外のなにものでもありません。むしろ、「不適正使用」解決のためには自立支援センター、公共施設、公共住宅、生活保護法の運用拡充整備を図るなど、野宿をしなくてもよいような、根本的・抜本的対策を構じて頂きたい。従って、上記の要望を取り下げて頂きたい。
  5. 人間をいたずらに類型化し、固定一元化していく発想は、常に新たな差別と排除の類型化をもたらす危険で非人道的な視点だと言わざるを得ません。直ちに再考を求めます。特に、「タイプV」に至っては憲法25条をはじめ、基本的人権の侵害であると考えます。多様性の尊重、国際化、共生の時代に逆行することのないよう要望いたします。
  6. 以上の提言・要望につき、回答、話し合いの場がもたれますよう取り図らって下さい。

1999年 月 日

カトリック名古屋教区正義と平和委員会福信館炊き出しの会
                 代表
日本基督教団中部教区愛知西地区教会婦人会連合
                 代表
日本基督教団中部教区愛知西地区社会部
                 代表
日本聖公会中部教区愛岐伝道区
                 代表
日本福音ルーテル教会尾張岐阜地区宣教委員会
                 代表
【連絡先】〒461-0004 名古屋市東区葵2-6-29 福信館気付 052-935-7180


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