ホームレスの「自立」に向けて

福信館炊き出しの会 竹谷 基

 6月22日付け本紙朝刊に、名古屋市がホームレスのシェルター、自立支援センターを設置する、という歓迎すべき記事がありました。しかしながら、先行する東京、大阪の例からもそれらの設置だけではホームレスの「自立」にはなかなか結びつかないことが報告されています。その理由は、一時的に滞在できる場所があっても、この不況下、就職難で、とくに、中高年には建設、土木などの日雇労働であっても無く、小泉政権下の経済構造改革ではさらに15万人から20万人の失業者が増えるのであればなおのことである。たとえ、あったとしても、パートアルバイトに限られ一日4?5時間時給700円程度でしか働けず、家賃生活費には不十分だということ。従って、ホームレスの多くは保護施設をただ通過して、再び、野宿生活に戻らずを得ないのです。公園からテント小屋をなくしたい名古屋市の意図にはそぐわない、結果的には箱物しか残らないのでしょう。「自立」にあたって、抜本的には、一時的な施設ではなく安心して定住できる住居の設置なのです。彼らの多くはアルミ缶などを拾ってやっと得た僅かな金額と、各支援団体の炊き出し、フロ他の生活支援を利用して、日々の生活を実に質素にしのいでいます。ある意味では彼らなりに「自立」しているのです。無いのは住む建物だけなのです。声高にハードルの高い「自立」を叫ぶよりも、今の彼らの自立生活を尊重し、住居と生活の支援から始めるべきではないでしょうか。「自立」はそこから始まるのです。安心して居られるところの確保から、将来が見えてくるのです。
 名古屋市は徒に他都市をまねるのではなく、その失敗から学び、本当に名古屋市のホームレスは「自立」していると、むしろ、他都市から学ばれる対策をとられんことを願わずにはいられません。


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