ももちゃんの一分間説教

今週の一句
「 聖誕祭 平和希求の 息白く 」
―もとゐ―


1999年12月26日()聖家族 ルカ 2:22〜40


2:22
さて、モーセの律法に定められた彼らの清めの期間が過ぎたとき、両親はその子を主に献げるため、エルサレムに連れて行った。
2:23
それは主の律法に、「初めて生まれる男子は皆、主のために聖別される」と書いてあるからである。
2:24
また、主の律法に言われているとおりに、山鳩一つがいか、家鳩の雛二羽をいけにえとして献げるためであった。
2:25
そのとき、エルサレムにシメオンという人がいた。この人は正しい人で信仰があつく、イスラエルの慰められるのを待ち望み、聖霊が彼にとどまっていた。
2:26
そして、主が遣わすメシアに会うまでは決して死なない、とのお告げを聖霊から受けていた。
2:27
シメオンが“霊”に導かれて神殿の境内に入って来たとき、両親は、幼子のために律法の規定どおりにいけにえを献げようとして、イエスを連れて来た。
2:28
シメオンは幼子を腕に抱き、神をたたえて言った。
2:29
「主よ、今こそあなたは、お言葉どおり/この僕を安らかに去らせてくださいます。
2:30
わたしはこの目であなたの救いを見たからです。
2:31
これは万民のために整えてくださった救いで、
2:32
異邦人を照らす啓示の光、/あなたの民イスラエルの誉れです。」
2:33
父と母は、幼子についてこのように言われたことに驚いていた。
2:34
シメオンは彼らを祝福し、母親のマリアに言った。「御覧なさい。この子は、イスラエルの多くの人を倒したり立ち上がらせたりするためにと定められ、また、反対を受けるしるしとして定められています。
2:35
――あなた自身も剣で心を刺し貫かれます――多くの人の心にある思いがあらわにされるためです。」
2:36
また、アシェル族のファヌエルの娘で、アンナという女預言者がいた。非常に年をとっていて、若いとき嫁いでから七年間夫と共に暮らしたが、
2:37
夫に死に別れ、八十四歳になっていた。彼女は神殿を離れず、断食したり祈ったりして、夜も昼も神に仕えていたが、
2:38
そのとき、近づいて来て神を賛美し、エルサレムの救いを待ち望んでいる人々皆に幼子のことを話した。
2:39
親子は主の律法で定められたことをみな終えたので、自分たちの町であるガリラヤのナザレに帰った。
2:40
幼子はたくましく育ち、知恵に満ち、神の恵みに包まれていた。

 イエスは私たちが羊飼いたちのように幼子に救い主のしるしを見るよう招かれています
 今日の福音にもシメオンとアンナが幼子イエスを「しるし」(ルカ 2:34)としてマリアとヨゼフに紹介しています両親は天使や羊飼いそしてこの二人の語る「しるし」について生涯その答えを求め続けたことでしょう
 私たちが日々出会う人体験する出来事も「しるし」ですその都度答えを見つけられなくても思いめぐらし吟味続けるならもう一つの解答を捜すことができるでしょう私の出会う野宿者たちとの関係もそうですいつも反省と後悔ばかりなのですが福音書のイエスの「しるし」を想起して今度出会うときには違った交わりをしようと望むのです(一生後悔ばかりかもしれませんが
 イエスの両親は「しるし」を一つ一つ薄皮を剥がすようにして見出し育てて行ったことでしょう多くの隣人と共に
 私たちも一人で解答を出すのではなく共に答えを求めて行きましょう

今週の一句
「 旧き生 入りて出るや 冬至の月 」
―もとゐ―


1999年12月25日()主の降誕 ルカ2:1〜14


2:1
そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た。
2:2
これは、キリニウスがシリア州の総督であったときに行われた最初の住民登録である。
2:3
人々は皆、登録するためにおのおの自分の町へ旅立った。
2:4
ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。
2:5
身ごもっていた、いいなずけのマリアと一緒に登録するためである。
2:6
ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、
2:7
初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。
2:8
その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。
2:9
すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。
2:10
天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。
2:11
今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。
2:12
あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」
2:13
すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。
2:14
「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ。」

 イエスは聖霊の火をもって私たちに新しい生命へと焼き直します
 マリアはおのれの生が神の救いの業に参与するものであることを天使によって告げられましたしかしそれは宮廷や国会で華やかにスペクタルに演じられるのではなくいと小さく貧しい名もない人々の間で危険と困難を伴って繰り広げられます小さき人々の生は支配者・権力者によって翻弄されつづけています日雇いや不安定下層労働で生計を立てなければならなかった人たちは社会状況の変化によって途端に野宿へと追いやられますそして人々から見捨てられ終には路上死を強いられます今はまた大企業で長年働いてきた人でさへリストラで失業しホームレスになる時代となりましたそれらは政治や経済の誤りの結果なのですけれども為政者たちは認めることなくむしろ自己を守ることに懸命です
 マリアとヨゼフも政治に翻弄され困難な旅を強いられついには家畜小屋で出産するはめになりました誰も彼らの苦しみに目を留めませんしかし目を留めたのは羊飼いたちでした権力者やマイホームやマイカーを持つ人々でもありませんでしたむしろ彼らから不浄の者として忌み嫌われていた羊飼いらが連帯したのでした
 華やかなクリスマスに心が浮かれるのはしょうがありませんが羊飼いらのように自分たちの苦難を抱えながらそれでもヨゼフたちの苦しみに憂えて彼らを励ましたように困難にある人々を思い傍へ出かけて行く人生となるよう祈りましょう

今週の一句
「 かじかむや 時は流れり 碁盤の上 」
―もとゐ―


1999年12月19日()待降節第4主日 ルカ1:26〜38


1:26
六か月目に、天使ガブリエルは、ナザレというガリラヤの町に神から遣わされた。
1:27
ダビデ家のヨセフという人のいいなずけであるおとめのところに遣わされたのである。そのおとめの名はマリアといった。
1:28
天使は、彼女のところに来て言った。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」
1:29
マリアはこの言葉に戸惑い、いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ。
1:30
すると、天使は言った。「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。
1:31
あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。
1:32
その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。
1:33
彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない。」
1:34
マリアは天使に言った。「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」
1:35
天使は答えた。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。
1:36
あなたの親類のエリサベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。
1:37
神にできないことは何一つない。」
1:38
マリアは言った。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」そこで、天使は去って行った。

 イエスは私たちを聖霊の火で焼き払われ私たちがイエスを証しする生に創り直されます
 さてマリアは出産を機にその人生が大きく転換されて行きます母親にとって子供の出産は大きな喜びとともに深い不安焦燥の時になりますわが国では少子化問題を始め今日子育てにめぐる事件が相次いで報じられていますユニセフの発表では世界中で子供の受難が続いているという「1990年代は貧困や紛争社会の慢性的な不安定化エイズウィルスなど女性若者子どもに対する宣戦布告のない戦争の10年であった」
 マリアは生まれてくる子どものことを慮ったでしょうローマ帝国占領下での不自由で貧しく将来性のない暮らしにあるいは子どもを上手に育てられるだろうか云々
 しかし神はマリアの不安を取り除いたのです子どもには神から与えられたそれぞれの使命のあることをその子どもを委託されたのだから責任をもって生み育てる恵みを与えられたことを神は告げられたのでした
 マリアは神に委ねました「お言葉どおりこの身に成りますように」(ルカ1:38)
 私たちは同様に子どもたちが神から預けられたものであることを覚えなければなりませんそして一人一人の子どもたちが世界を救う者に成るよう仕えることが必要です

今週の一句
「 初氷 慌てて削る 早朝出勤 」
―もとゐ―


1999年12月12日()待降節第三主日 ヨハネ1:6〜8、19〜28


1:6
神から遣わされた一人の人がいた。その名はヨハネである。
1:7
彼は証しをするために来た。光について証しをするため、また、すべての人が彼によって信じるようになるためである。
1:8
彼は光ではなく、光について証しをするために来た。
1:19
さて、ヨハネの証しはこうである。エルサレムのユダヤ人たちが、祭司やレビ人たちをヨハネのもとへ遣わして、「あなたは、どなたですか」と質問させたとき、
1:20
彼は公言して隠さず、「わたしはメシアではない」と言い表した。
1:21
彼らがまた、「では何ですか。あなたはエリヤですか」と尋ねると、ヨハネは、「違う」と言った。更に、「あなたは、あの預言者なのですか」と尋ねると、「そうではない」と答えた。
1:22
そこで、彼らは言った。「それではいったい、だれなのです。わたしたちを遣わした人々に返事をしなければなりません。あなたは自分を何だと言うのですか。」
1:23
ヨハネは、預言者イザヤの言葉を用いて言った。「わたしは荒れ野で叫ぶ声である。『主の道をまっすぐにせよ』と。」
1:24
遣わされた人たちはファリサイ派に属していた。
1:25
彼らがヨハネに尋ねて、「あなたはメシアでも、エリヤでも、またあの預言者でもないのに、なぜ、洗礼を授けるのですか」と言うと、
1:26
ヨハネは答えた。「わたしは水で洗礼を授けるが、あなたがたの中には、あなたがたの知らない方がおられる。
1:27
その人はわたしの後から来られる方で、わたしはその履物のひもを解く資格もない。」
1:28
これは、ヨハネが洗礼を授けていたヨルダン川の向こう側、ベタニアでの出来事であった。

洗礼者ヨハネはイエスが私たちを火で焼き払われ私たちを創りなおす方であると紹介しました
 今日のヨハネ福音書では同じく洗礼者ヨハネは終始イエスを証しする人で(「荒れ野で叫ぶ声」ヨハネ1:23)あり「わたしより優れている」(同1:15)「わたしはその履物のひもを解く資格もない」(同1:27)と語るへりくだっだ者だったと書かれています
 私たちも洗礼者ヨハネと同じくイエスを証しする者です私たちはイエスではありません教会も同様ですイエスそのものではないのですその力も信仰も無くむしろ過ち欠点の多い代物ですしかし歴史上ある人物がイエスになってしまったり教会自体がイエスになったことがあったのですまたなお洗礼者ヨハネのように人々をイエスと出会わせるのではなく教会わたしたちに留まらせイエスとの出会いを妨げているのです
 私たちは誤ってはいけません何よりも自分の罪深さをイエスの十字架によって神の憐れをいただいたことをそして神のゆるしと恵みの内にイエスに従いイエスの喜びに与りイエスの十字架を背負うことのできることを このようにしてイエスから日々生かされていることに感謝し喜びを分かち合うことがイエスを証しすることではないでしょうか
 さあ洗礼者ヨハネと同じように「荒野の声」となり苦難にある人々に喜びを告げに出かけましょう

今週の一句
「 吹き溜まり ビジネス街の 銀杏落ち葉 」
―もとゐ―


1999年12月5日()待降節第二主日マルコ 1:1〜8


1:1
神の子イエス・キリストの福音の初め。
1:2
預言者イザヤの書にこう書いてある。「見よ、わたしはあなたより先に使者を遣わし、/あなたの道を準備させよう。
1:3
荒れ野で叫ぶ者の声がする。『主の道を整え、/その道筋をまっすぐにせよ。』」そのとおり、
1:4
洗礼者ヨハネが荒れ野に現れて、罪の赦しを得させるために悔い改めの洗礼を宣べ伝えた。
1:5
ユダヤの全地方とエルサレムの住民は皆、ヨハネのもとに来て、罪を告白し、ヨルダン川で彼から洗礼を受けた。
1:6
ヨハネはらくだの毛衣を着、腰に革の帯を締め、いなごと野蜜を食べていた。
1:7
彼はこう宣べ伝えた。「わたしよりも優れた方が、後から来られる。わたしは、かがんでその方の履物のひもを解く値打ちもない。
1:8
わたしは水であなたたちに洗礼を授けたが、その方は聖霊で洗礼をお授けになる。」

 典礼暦上の新しい年は私たちが再度イエスと出会いイエスに従うチャンスなのです
 洗礼者ヨハネはイエスが聖霊で洗礼を授ける方であると紹介しました(参照 マルコ1:8)マタイでは火で焼き払われるかたであるとも紹介されています即ちイエスは私たちの古いあり方を火で焼き尽くし新たな私たちに創り変える人であるということです
 私たちは水の洗礼を受けながらも旧態依然の生き方をし利己主義に留まっているのです
 イエスはそれまでの神のあり方を変えたのです人を上から教え導くのではなく徹底的に人となり人を愛したのでした私たちの信仰を変えなければなりません悔い改めにだけ留まるのではなく人々への奉仕に方向転換すべきなのですそのためには私たちはイエスの火に焼かれる痛み苦しみが必要なのです
 さあイエスと共に十字架の道を歩みだしましょう


今週の一分間説教 Gospel on this week