「ここで逃げるか自分」

スタッフ 辻 雅人


 こんにちは。薬物依存症のまさとです。

 私がダルクに繋がってもうすぐ3年5ヶ月 が経ちます。昔から嫌な事や不安、恐れを感じるとすぐに逃げ出す生き方をし続け ていました。そんな自分を本当に変えたい、でも中々変えていくのは難しいと感じ ています。ここに来ても逃げっぱなしです。

 この前、名古屋ダルク30周年フォー ラムがあり、そこでもやらかしてしまいました。日に日にプレッシャーと不安が強 くなってきて、失敗したらどうしようとか上手く出来るかな?そんな事ばかり考えてフォーラム前日、一睡 も出来ず失敗するシュミレーションなどをしていました。当日、仲間たちは頑張っている中、自分の話す順番が近づくにつれて恐くなってきて仲間に何も言わず逃げ出しました。

 その時の気持ちは、やっぱり自分は 無理だ。みんなの様に上手く出来ないし、人前に出て話す勇気が無いし恥をかきたく無い、ここから逃げ出 してどっか遠くに行こうと病気全開になってました。

 逃げても何も解決しないし、その後に罪悪感や後悔が 襲ってくるのに、一瞬の快楽の方に行ってしまいました。もう死ぬしかないなと思い、最後に海を見たいと か考えながら歩き続けました。もちろん携帯はoffにして現実逃避の世界に入ってごまかしていましたが、 苦しさは消えず公園で寝たり駅のベンチで寝たりしていました。

 自分の問題に気付いていないんですよね。 いつも人のせいにしてしまう癖、自分は悪くない、こんな風にしたあの人が悪いんだ。本当に勝手なんですよ自分は・・・。逃げている間もこれからどこに行ってどう逃げようか?そんな事ばかり考えてました。

 逃 げた時の服装はスーツでその格好のまま10日間ぐらい町を彷徨ってました。炊き出しに並んだり食料を貰 える所に行ったりしてました。お金が無く喉が渇き耐えれなくなってコンビニとスーパーで飲み物を万引き しました。捕まってしまう事は正直考えれなくなっていたし、走って逃げればいいぐらいに思っていました。

 でも頭に仲間の事がよぎるんです。不思議と・・・。でも今更帰れないし、会うのが恐い、どんな風に思わ れるかと考えてました。こんな事していても何も変わらないのは分かっていたけど勇気がなかった。

 そんな 時、帰るきっかけ、背中を押してくれる出来事がありました。町を彷徨っていたら大切な人とばったり遭遇 し話を聞いてもらいました。「どうしたいの?まさとはそれでいいの?」と言われ決心ができました。戻って きた時仲間に「おかえり。飯食べてたの?」と全く怒られず「まさとが幸せになれる方を選んでほしい」と 言われました。こんな自分を受け入れてくれた事に感謝しています。これからは支えてくれている人、自分 を大切にしていきたいです。ありがとうございました。



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