「6年の足跡」

ナイトケアハウスディレクター 村瀬 光幸


 ここ名古屋にも、寒さを感じる日がやってきてダルクの仲間も、身も心も引き締め今日もプログラムに励んでいます。私も振り返るとダルクに6年の足跡を残しました。 過去はアルコールや薬物が私の生き方を支配し、生きることがどうにもならなくなって、ダルクに救われました。こうして振り返ると、6年の足跡を残し薬のない生き方を続け、今は回復への道を一歩一歩確実に歩み、過去を振り返ることも恐れずできるようになりました。

 私は、思春期から悪友たちの仲間に入り、やらなくてはならない当たり前のことをやらず悪友と共に思いつく限りのやりたいことを優先しました。時には法律に触れてしまうような事をしてしまいました。16歳になるとアルコールの快楽を覚え、17歳になると快楽では飽き足らず、悪友と共に暴力にまで発展し、警察沙汰になったのが、生きることがどうにもならなくなったことの始まりでした。ここから10年間はアルコールにどっぷり浸り、たくさんの人たちを傷つけ、たくさんのものを失い、自分自身の傷を癒す一つの手段として違法薬物を選び、27歳からは家族や悪友すらも振り返れず、違法薬物の虜になり、気がつけば15年間、違法薬物だけを頼りにし共に生きてしまいました。

 結果、42歳の年を数えた時に逮捕され、やっと正気の判断をすることが出来るようにダルクの門を叩きました。私の生き方を変えるためのプログラムが始まりました。初めは今までの生き方が邪魔をして、どのように歩んでいけば良いのかわからず、只々不安と焦りの日々でしたが、たくさんの仲間の愛情に支えられ、時には笑い、時には苦しみ涙しました。シラフで今日一日、仲間と共に過ごすことにより自然に正気の考え方が身に付き、生き方が少しずつ変わってきました。

 薬を使わない生き方を6年続け、今では6年前の私と同じように、生きていくことがどうにもならなくなった人に、私が受け取った回復へのメッセージを伝える立場になりました。私が受け取り、そして伝えるメッセージは「今を精一杯生きること」です。ダルクで薬が止まり、ダルクで生き方が変わり、6年で築き上げた今の私の足跡は、決して消えることのない本当の正直な私のありのままの姿です。これからも私の大切なダルクの仲間、そして私の回復を見ていてください。私はこれからも確実に前に進んでいきます。