「絶望から、希望へ・・・」

名古屋ダルク 職員 藤原 新太郎


 約二年前、僕はボロボロでタルクに繋がりました。長い間薬物を使い続けた結果です。使い始めた時は楽しく使っていたつもりです。 15歳からシンナーを吸い、16歳で覚せい剤を覚えました。初めはたまに使うだけのものでした。中にはそんなものやめろと言ってくれる友人もいましたが、やめる事などいつでもできると思っていたので、友人の忠告など聞けるはずもありませんでした。

 1人またひとりと薬を使わない友人は僕の前から去っていきました。気が付くと周りには薬物を使う人しかいませんでした。目の前に出された薬はどんな物でも迷うことなく試してみました。

 たまに使えば良かった薬物を、毎日使うようになりました。毎日薬を使うためには、たくさんのお金が必要です。薬を使っているので働くことも出来ません。人や店からたくさんの物を奪いました。何度も警察に捕まりました。少年院にも行きました。それでも薬が止まることはありませんでした。元ノマ、自己中心な僕が薬を使うと更に自己中心度が増します。薬仲間さえ離れていきました。身近に居るたくさんの人たちを巻き込みながら薬を使いました。

 すっと居てくれると思っていた、家族すら離れていきました。死のうと本気で考えましたが、死ねませんでした。タルクでリハビリをする以外に道は残されていませんでした。
 これが僕の転機でした。タルクで生活をすると同時にあれだけ止められなかった薬がとまりました。薬の事を思い出し眠れなくなる日もありましたが、それも乗り越えてきました。今では薬の事で囚われることも少なくなりました。タルクに来てもしばらくは希望など持てませんでした。それでもクリーンでいたら楽しみも増えてきました。先日、子供からカブトムシを取りにつれて行ってと言われました。今まで一度足りとも父親らしい事などしていません。まだ自分のことを父親と思ってくれている事が夢のようです。

 こうして少しずつ、繋がりも戻ってきています。
 タルクでやってきてよかったと感じることが最近多くなってきました。この経験を僕と同じようにボロボロになって繋かって来る人達にも伝えていきたいです。

戻る