アメリカから帰って

ダルク後援会 河合 清美



 今回から「名古屋ダルクニューズレター」の編集を担当させていただく河合清美です。私はアメリカ・カンザス州にある大学で2年間、薬物・アルコール依存症とそのカウンセリングを勉強し、今年5月に帰国しました。トリートメントセンターやカウンセリングが十分整えられたアメリカから帰ってきて一番驚いたことは、公的な日本の薬物・アルコール依存症治療への取り組みのお粗末さでした。

 そんな折、名古屋ダルクと出会いました。そこには、私がアメリカで体験し感じたものがあったと思います。それは「自分と向き合い、自分を変える」ことでした。社会復帰のための体力づくり、毎日の仲間とのミーティングやNAミーティングでの12のステップのプログラム。それらを一日一日やり続けることで依存症からの回復とともに人間的、霊的成長をする。それは並大抵のことではありません。私は名古屋ダルクに関わらせていただき、ここで行われていることは本物だと感じました。

 でもひとつ大きな違いがありました。それはスタッフが資金を集め、寄付のお願いを一生懸命して運営していることでした。現在、ダルクは多くの方々の温かいご支援で支えられていますが、アメリカでは国や州が予算を出し、カウンセラー、看護士、医師など必要な人材を配置し治療にあたっています。本来ならば、ダルクでもスタッフは依存症者の回復だけにエネルギーを注ぐことができるはずです。アメリカと比べたら遅れているのは当然かもしれません。しかしこれだけ薬物問題が騒がれている昨今、日本も薬物・アルコール依存症治療について、もっと国を挙げて取り組み、予算をつけてほしいと思います。トリートメントセンターの開設までは今はいかないとしても、少なくともダルクのスタッフが余裕を持って依存症者の回復に専念できるようにしていただきたいと思います。

 歪んだ価値観が横行し、心がすさみがちになるなかで、薬物に手を出してしまう人はこれからもっと増えていくことでしょう。防止運動をするのと同様に、トリートメント、リハビリテーションは重要です。それはスリップ、再犯を防ぎ、苦しむ人を確実に減らすと同時に、希望と喜びを持って生きていく人を増やしていくのです。どうか、一生懸命生き直そうとしている人たちを国も支えてください。政治が変わり、新しい年を迎えようとする今、希望を見出せる未来への変化の時となることを望みます。

 微力ですが、一生懸命お手伝いさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 皆様、楽しいクリスマス、お正月をお迎えください。


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