「ありがとうございます」

ナイトケアハウス「ホープ」責任者 津山 智樹



 ナイトケアハウス「ホープ」は皆様に支えられて開所より18ヶ月がすぎました。

 絶望を希望に変えうる機会が一人でも多くの苦しんでいる本人とその周囲の方々に届く様にと願いを込めて付けた名前です。

夏の暑い頃、3人の青年がバタバタと去っていきました。

 残った1人の青年(ター君)がその時何を感じたのか、走りに行きました。戻ってきたのは4時間以上経ってからです。開口一番「やりましたよ」と一言。疲労していましたが、目に力が漲りながらもやさしさを含んでいたりと、とても達成感に満たされた豊かな顔付きには希望がありました。

 様々な回復のサンプルに出会い何を自分が感じ選んでいくのか、それぞれに平等に与えられている時間内にどれだけ新しく変われるのか考えさせられる毎日です。

 勿論、私自身がそうでしたが、回復の場がある限り機会は何度でも訪れます。

 10月の中頃、1本の電話が鳴りました。相手は「ダルクに入りたいんです」と言っています。リハビリは厳しい事を伝え「毎日やり続ける覚悟ができたら一度来所して下さい」と伝えて電話を切りました。数日後、突然彼はカラーボックス一つと紙袋の荷物と共にやって来ました。彼は刑務所内で行われているダルクミーティングに参加し、出所の時に毎日私たちが使っている冊子〔薬物をやめたい仲間のために(ドッラクアディクトミーティングハンドブック)〕を渡され、その冊子を頼りにやって来た事、服役中に母を亡くした事等包み隠さず話す姿は困り果てていました。

 その日より入寮となり、皆様からのご献金で彼は支えられて孤独からの脱却が始まりま
した。県内ではリハビリに専念する事が難しい為、他県のダルクに移動する事になりますが、その日が来るまで一緒に過します。

 また、もう一人、10年間という“時”を病院ですごし、再び、プログラムに戻ってきた方もいます。

 最近感じている事ですが、一度回復のプログラムに繋がり仲間のあたたかさに触れたならば、必ず回復の機会が訪れる事を実感しております。全てのアディクトに一日という時間は平等に与えられていますが、全員一緒に“方向性が変わる”という事はなく、それぞれに与えられた時間の中に各人のペースでゆったりと大きな時間が流れている事にやっと気づきました。

 年の瀬を迎え、改めて18ヶ月を振り返ると、多くの仲間が通り過ぎてゆきました。

 こうして今日もホープが存続しているのは、毎月継続支援してくださる方々など、皆様方のおかげであります。

 困った時に神父様に相談すると一緒に考えて下さり、方向性を示して戴けます。バザーに参加させて戴いたり、各教会の御ミサの後に時間を下さったり、カトリック系の学校祭、バザーの収益をご献金下さったりと様々です。

 そうして、私達は皆様方の前に出る事により少しずつ変わり始め、支えられている事を感じたり、理解しようとして下さる方々に出会い心を開き始めます。

 薬物依存症という世間では敬遠される問題を御支え下さり心より感謝いたします。

 今年も名城公園の寒桜が咲き始めました。今年一年ありがとうございました。

 皆様 よいお年をおむかえ下さい。

献金総数
 9月 9件 ¥169,690
10月 7件 ¥ 52,085
16件 ¥221,775



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