08年度炊き出し活動報告

福信館炊き出し代表 竹谷 基



 08年秋、米国発の金融危機は、またたくまに、自動車、家電等の輸出産業に依存していた日本経済を100年に一度と言われる未曾有の経済不況に落としました。それらの産業をささえていた非正規雇用社員、特に、派遣労働者は解雇され、失業と住居を失うこととなりました。09年3月末までには12万人超が失業、愛知県は最多の2万人と言われていますが、4月以降、もっと増加すると指摘されています。彼らの多くは、生活保護申請のため、毎日、約100人が中村福祉事務所を訪れ、民間ボランティアが相談にのっていますが、対応に追われています。

 炊き出しに関しては、08年秋から、例年の減るところに反し、横ばいか増加と徐々に影響が現れ、09年1月からは顕著になってきました。(※1炊き出し数参照)。4月以降の情勢が気がかりの所です。炊き出しに並ぶ方の中に、若い方が増えて来ました。やはり、派遣切りの方です。最年少は23歳、沖縄出身で、岡崎のソニーの工場で働いていたが、1月半ばで解雇されたと言うことでした。残念ながら、昨年度の報告に書いたことが、現実となってきました。経済不況と北朝鮮の人工衛星?発射事件やソマリア沖の海賊退治のための自衛隊派遣と相まって「労働者の3分の1を超えて約1600万人、ワーキングプアと言われる年収200万以下が1000万人にいるとのニュースがありました。働く人の環境が厳しさを増しています。社会保障の全くないそれらの労働者たちの未来はホームレスになると予想されています。格差社会の放置は軍事国家化を急ぐ日本に徴兵制の道を開く下地になっています。」(07年度福信館炊き出し活動報告より)雇用を守ることと平和を維持することは一体であることが分かります。

 さて、この間、マスコミ等が派遣切り問題を大きく取り上げたことにより、各方面からのご協力が寄せられました。貧困化が身近な問題になってきたのでしょう。困難ななか、互いに助け合うことが自発的に生まれてきたのでしょう。ボランティアの方も、毎週のように新しい参加者が加わっています。中でも、ある派遣介護労働者の方が遠く幡豆郡から来られました。

 今、緊急援助を必要しているホームレスの方、または、そのおそれのある方への関わりは大事ですが、同時に、ホームレスの方を生み出す、経済構造、社会構造の転換をも視野に入れた活動がさらに大事です。キリスト者として、「生命・人権」を奪う社会、経済は絶対ゆるしてはなりません。それは、古代イスラエルの預言者が言った、背信、バアル(資本主義)崇拝からの回心となるのです。このように、ホームレス問題への関わりは「生命・人権」を守るというイエスの福音の根幹にふれることなのです。つまり、神の國の宣教そのものなのではないでしょうか。

 今以上の、神言会先輩諸氏の方のご理解とご協力をお願いする次第です。

<年間炊き出し>
 食の提供は元より、何より出会いと交流を大事にしています。わたしたちとホームレスの方との接点となっています。先入観、偏見を取り除けられるよう努めています。
NPOのもとで、月曜日はプロテスタント教会、木曜日はカトリック教会の担当で行われています。炊き出しは気象警報が出た場合以外、無休で行われるので、ボランティア確保には苦労しています。幸い、布池、南山、城北橋、小牧、恵方町、東山、長浦、春日井、高蔵寺、江南、一宮、東海の各教会、聖霊会、後藤グループ、南山大学ボランティアサークル・アヴァンギャルド、他の協力でボランティアは集められています。今後は、他の教会へと広げて行きたいと考えています。

<天白川訪問>
 04年2月から河川敷に野宿生活を強いられている人々への訪問をしています。毎月第2、4月曜日の午後から、お弁当、下着、薬などを持って行きます。23~25名の方が野宿されています。今年度、4名の方が、アパート入居、生活保護受給で新しい生活を始めました。また、1名は老人施設に入居されました。

<越冬炊き出し>
 年末年始をホームレスの方と過ごすため第34回越冬活動を行い、夜の炊き出しを担当。プロテスタント教会と分担、カトリックは12月30日、31日に行いました。修女連、アヴァンギャルド、他の協力を得ました。

<生活相談>
 衣類に不自由している方、生活、健康問題、住居をさがししている方の相談に応じています。アパート紹介、生活保護受給のお手伝いをしました。
木曜日10時から16時まで、福信館で行われました。※2
今年度は6名の、生活保護受給による住居提供をしました。

<交流会>
 ホームレスの方、居宅保護の方との情報交換、交流をした。
 月一回、多治見修道院、農作業と交流会。多治見教会のボランティアが多治見市内のホームレスの方を誘い、一緒に農作業をして、交流を深めるようになりました。多治見のホームレスの方1名、年金受給によりアパート生活へ、多治見教会のボランティアの協力により。

<広報、啓発>
 ニュースレター『ももちゃん便り第18号』を発行しました。
 布池教会、12月13,14日、炊き出し献金ミサ。

<募金>
 春祭り−炊き出し支援バザー−4月27日、開催しました。利益674,885円。
 多治見教会バザーに出店、10月26日、利益200,000円。東海教会バザーに出店、11月2日。
 夏の募金、282,315円。クリスマス募金、1、546,539円、ありました。

戻る