安倍政権は現在、「戦後レジームからの脱却」を掲げて教育改革なるものに執念を燃やしている。教育基本法で愛国心を強調し、さらに教科書検定基準も政府の意向に沿ったものにするなど、教育分野において右傾化を進めている。
私は、先日、育鵬社が出版した教科書を読んだが、日本という国を美化し、愛国心を植え付ける記載が多いと感じた。戦争を経験した者が、この教科書を読んで、「まさに戦前の教科書を見ているかのようである」と言ったほどである。育鵬社の教科書は、「日露戦争の勝利はアジア諸国民に希望を与えた」などと日露戦争を自衛の戦争として定義し、韓国併合も正当化している。これに加えて、他の出版社の教科書の中にも、慰安婦や南京大虐殺など日本の残虐性が明確に記述されていないものもある。このように、日本政府は過去の戦争責任を否定し、その歴史的事実を抹消しようと、様々な手法を凝らして、教育現場から日本を戦争できる国に変えようとしている。
一方、歴史と向き合わない日本とは逆に、中国は、どのように歴史と向き合っているのだろうか。
最近、「南京大虐殺」問題に長年取り組んでいる関係者から話を聞く機会があった。その時、その関係者は「中国人は、日本国が過去の戦争において犯したことを許しているし、日本国民を恨んでもいない。しかし、過去を忘れてはいない。日中の歴史的事実を伝え、平和を願うために、南京大虐殺を始めとする様々な歴史的遺産と関連する施設があるのだ。そのような施設を作ることで、中国人は戦争によって多くの命が失われるような歴史を、二度と繰り返してはならないと肝に銘じているのだ。」と語った。
実際、中国の教育機関では、南京大虐殺の歴史的事実を綴った冊子を教材として使用している。また、日中戦争の史実保存を目的とした博物館や元慰安所施設などの歴史的建造物の保存・修復なども行っている。
このように中国では「戦争という悲惨な出来事を二度と繰り返さないために過去を理解する。」という考え方に基づいて歴史認識に取り組んでいる。一方、これとは正反対の取組を推進し、「平和」という名のもとに戦争を企てる日本政府は、この姿勢を改めなければ今後も国際社会の一員として認められることはないだろう。
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