海底牧場の夢

三本木 國喜


 エコロジーというと,まずエネルギーの無駄をなくしましょうということになるようですが,もっと基本的なことは,サスティナブル・デベロップメント「持続可能な発展」です。循環型経済とも言います。

 あらゆる意味で有害無益な軍事基地が日本全国,とくに沖縄に広大な土地を占拠しているのが今大きな問題になっていますが,それを全部取り払って,そこを太陽光発電所にすれば,日本の電力事情がたちどころに解決し,しかも,完全なクリーンエネルギーであるという,一石二鳥どころか五鳥にも六鳥にもなる名案です。

 もう一つの太陽光の利用は,海底牧場です。

 日本は周囲を海に囲まれています。水深200メートルまでの大陸棚をつなげば,本土の面積よりも大きいかもしれません。そこをすべて海底牧場にすれば,日本の国土面積は倍になります。これまた,一石二鳥,三鳥,四鳥です。

 その方法は,まず直径1qくらいの浮環礁を作り,無数の受光ブイをつないで浮かべます。その受光ブイから海中に数十メートルのグラスファイバーを垂れ下げます。つまり,グラスファイバーのスダレで囲まれた直径1qの海の楽園を作るのです。すると,海面から受光ブイが取り入れた太陽光が海底まで届き,丸い巨大な光の領域ができます。そして,そこに植物プランクトンが生まれ,それを餌にする動物プランクトンやオキアミのようなものが集まってきます。

 すると,そこにイワシなどの小魚が集まってきます。すると,そこにそれを餌とする大きい魚が寄って来て,海の楽園は,結果として大きな海底牧場になる,という目論見です。そこに底引き網を入れれば,ガリラヤ湖の現代版である浮環礁を,広大な大陸棚に敷き詰めるのです。そうすると,日本の食料自給率が40%を切ったとか,クロマグロが食えなくなるなどという情けないことではなく,日本の漁業は,世界一の輸出産業として大きく羽ばたくことになります。どうです。これももう一つの名案ではないですか。しかも,海洋は循環型経済の宝庫です。すべての生命は海から生まれ,海に帰るという循環を繰り返しています。海こそは,すべての生命の母なのです。三好達治でしょうか。こう行ってますね。「la mer.フランス語では母mereの中に海がある。日本語では,海の中に母がある。」 また,ランボーが歌っています。

また,見つかった。
何が?永遠が。
海に溶け込む太陽だ!


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