ももちゃんの一分間説教



今週の一句

空に映え 田毎に写る 茜色―もとゐ―


 2020年7月5日(日)
 年間第14主日

 マタイによる福音書11章25-30節

11,25 そのとき、イエスはこう言われた。「天地の主である父よ、あなたをほめたたえます。これらのことを知恵ある者や賢い者には隠して、幼子のような者にお示しになりました。
11,26 そうです、父よ、これは御心に適うことでした。
11,27 すべてのことは、父からわたしに任せられています。父のほかに子を知る者はなく、子と、子が示そうと思う者のほかには、父を知る者はいません。
11,28 疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。
11,29 わたしは柔和で謙遜な者だから、わたしの軛を負い、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたは安らぎを得られる。
11,30 わたしの軛は負いやすく、わたしの荷は軽いからである。」

 洗礼者ヨハネは獄中からイエスのところへ弟子を遣わし、イエスが「メシア」かどうか尋ねさせた。ヨハネは神からの裁きを免れるために、ユダヤ教指導者たちに悔い改めの洗礼を受けるようにと呼びかけた。

 他方、イエスはユダヤ教指導者から「罪人」と呼ばれ、差別と搾取・排斥の対象であったガリラヤの貧しい人たちに寄り添っていた。貧しい人たちは人間らしく遇されたことに喜びと生きる力を与えられ、イエスと彼・彼女らはまるで「神の支配」の下にいるのではないかと感じていた。

 イエスは神の近さを、ユダヤ教指導者が負わせる重すぎる律法や祭儀の厳格な遵守によってではなく、いっしょに飯を食い酒を酌み交わし、パンを分け合い、力を出し合い、共に笑い、泣くところにあると、運動をしたのであった。荒野で厳しい修行と禁欲に生き、指導者たちを告発したヨハネにそのイエスの姿を理解できなかったかもしれない。
今週の一句
電車通勤 時の移ろい 青田かな

―もとゐ―


 2020年7月12日(日)
 年間第15主日

 マタイによる福音書13章1-23節

13,1 その日、イエスは家を出て、湖のほとりに座っておられた。
13,2 すると、大勢の群衆がそばに集まって来たので、イエスは舟に乗って腰を下ろされた。群衆は皆岸辺に立っていた。
13,3 イエスはたとえを用いて彼らに多くのことを語られた。「種を蒔く人が種蒔きに出て行った。
13,4 蒔いている間に、ある種は道端に落ち、鳥が来て食べてしまった。
13,5 ほかの種は、石だらけで土の少ない所に落ち、そこは土が浅いのですぐ芽を出した。
13,6 しかし、日が昇ると焼けて、根がないために枯れてしまった。
13,7 ほかの種は茨の間に落ち、茨が伸びてそれをふさいでしまった。
13,8 ところが、ほかの種は、良い土地に落ち、実を結んで、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍にもなった。
13,9 耳のある者は聞きなさい。」
13,10 弟子たちはイエスに近寄って、「なぜ、あの人たちにはたとえを用いてお話しになるのですか」と言った。
13,11 イエスはお答えになった。「あなたがたには天の国の秘密を悟ることが許されているが、あの人たちには許されていないからである。
13,12 持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。
13,13 だから、彼らにはたとえを用いて話すのだ。見ても見ず、聞いても聞かず、理解できないからである。
13,14 イザヤの預言は、彼らによって実現した。『あなたたちは聞くには聞くが、決して理解せず、/見るには見るが、決して認めない。
13,15 この民の心は鈍り、/耳は遠くなり、/目は閉じてしまった。こうして、彼らは目で見ることなく、/耳で聞くことなく、/心で理解せず、悔い改めない。わたしは彼らをいやさない。』
13,16 しかし、あなたがたの目は見ているから幸いだ。あなたがたの耳は聞いているから幸いだ。
13,17 はっきり言っておく。多くの預言者や正しい人たちは、あなたがたが見ているものを見たかったが、見ることができず、あなたがたが聞いているものを聞きたかったが、聞けなかったのである。」
13,18 「だから、種を蒔く人のたとえを聞きなさい。
13,19 だれでも御国の言葉を聞いて悟らなければ、悪い者が来て、心の中に蒔かれたものを奪い取る。道端に蒔かれたものとは、こういう人である。
13,20 石だらけの所に蒔かれたものとは、御言葉を聞いて、すぐ喜んで受け入れるが、
13,21 自分には根がないので、しばらくは続いても、御言葉のために艱難や迫害が起こると、すぐにつまずいてしまう人である。
13,22 茨の中に蒔かれたものとは、御言葉を聞くが、世の思い煩いや富の誘惑が御言葉を覆いふさいで、実らない人である。
13,23 良い土地に蒔かれたものとは、御言葉を聞いて悟る人であり、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍の実を結ぶのである。」

 カナンに移住して来たヘブライの民は驚き、賛美した。と言うのは、カナンでは種を撒けば芽を出し実らせる雨の降る神の恵みを体験したからだった。彼らが彷徨いつづけたアラビア半島ではカナン以外、一滴の雨の降らない不毛の地、農作物の出来ないところで、食糧を得るには水を管理する王の奴隷になるしかなかったから。だから、種を撒けば必ず実りを与える神に感謝と賛美したのだ。

 そのカナン、なかでも、一番の農産物生産地であるガリラヤに生まれ育ったイエスには実感して神は絶対であった。それ故、神のことばは必ず実現するとイエスは信じていたのではないか。その豊かな地にもかかわらず、飢えた人たちのいることを神は決して見捨てられないと。必ず、食べられ人間として大事にされることを。イエスは十字架の受難にも臆することなく、ひたすら、神のことばを撒き続けた、貧しい人の中に居続けたのだ。
今週の一句
長閑さや ツバメ飛び交う 軒の下

―もとゐ―


 2020年7月19日(日)
 年間第16主日

 マタイによる福音書13章24-43節

13,24 〔そのとき、〕イエスは、別のたとえを持ち出して言われた。「天の国は次のようにたとえられる。ある人が良い種を畑に蒔いた。
13,25 人々が眠っている間に、敵が来て、麦の中に毒麦を蒔いて行った。
13,26 芽が出て、実ってみると、毒麦も現れた。
13,27 僕たちが主人のところに来て言った。『だんなさま、畑には良い種をお蒔きになったではありませんか。どこから毒麦が入ったのでしょう。』
13,28 主人は、『敵の仕業だ』と言った。そこで、僕たちが、『では、行って抜き集めておきましょうか』と言うと、
13,29 主人は言った。『いや、毒麦を集めるとき、麦まで一緒に抜くかもしれない。
13,30 刈り入れまで、両方とも育つままにしておきなさい。刈り入れの時、「まず毒麦を集め、焼くために束にし、麦の方は集めて倉に入れなさい」と、刈り取る者に言いつけよう。』」
13,31 イエスは、別のたとえを持ち出して、彼らに言われた。「天の国はからし種に似ている。人がこれを取って畑に蒔けば、
13,32 どんな種よりも小さいのに、成長するとどの野菜よりも大きくなり、空の鳥が来て枝に巣を作るほどの木になる。」
13,33 また、別のたとえをお話しになった。「天の国はパン種に似ている。女がこれを取って三サトンの粉に混ぜると、やがて全体が膨れる。」
13,34 イエスはこれらのことをみな、たとえを用いて群衆に語られ、たとえを用いないでは何も語られなかった。
13,35 それは、預言者を通して言われていたことが実現するためであった。「わたしは口を開いてたとえを用い、/天地創造の時から隠されていたことを告げる。」
13,36 それから、イエスは群衆を後に残して家にお入りになった。すると、弟子たちがそばに寄って来て、「畑の毒麦のたとえを説明してください」と言った。
13,37 イエスはお答えになった。「良い種を蒔く者は人の子、
13,38 畑は世界、良い種は御国の子ら、毒麦は悪い者の子らである。
13,39 毒麦を蒔いた敵は悪魔、刈り入れは世の終わりのことで、刈り入れる者は天使たちである。
13,40 だから、毒麦が集められて火で焼かれるように、世の終わりにもそうなるのだ。
13,41 人の子は天使たちを遣わし、つまずきとなるものすべてと不法を行う者どもを自分の国から集めさせ、
13,42 燃え盛る炉の中に投げ込ませるのである。彼らは、そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。
13,43 そのとき、正しい人々はその父の国で太陽のように輝く。耳のある者は聞きなさい。」

 イエスの運動は、神の思いが全地に広がるための過程だ。参加者は多様だ、荒野を旅した、ヘブライの民や12弟子のように目的に向かって近づいて行くのだが、方向、手段、思想は一致していなかった、そのため脱出組の一世代、モーセを含め誰も約束の地には入れなかった。故に、イエス運動でもその過程には後退や停滞、イエス自身の十字架刑死の挫折もあるだろう。

 しかし、世界の人権、平和獲得の道と同様に、何百年もの途方もない歩みを続けて行くうちに、必ず、実を結び、空の鳥が巣を作れるほど大きな木になると確信を持って、弟子たちはイエスの後に従って理想に向かって行くのだ。
今週の一句
傘開き 雨雲払い 山法師

―もとゐ―


 2020年7月26日(日)
 年間第17主日

 マタイによる福音書13章44-52節

13,44 〔そのとき、イエスは人々に言われた。〕「天の国は次のようにたとえられる。畑に宝が隠されている。見つけた人は、そのまま隠しておき、喜びながら帰り、持ち物をすっかり売り払って、その畑を買う。
13,45 また、天の国は次のようにたとえられる。商人が良い真珠を探している。
13,46 高価な真珠を一つ見つけると、出かけて行って持ち物をすっかり売り払い、それを買う。
13,47 また、天の国は次のようにたとえられる。網が湖に投げ降ろされ、いろいろな魚を集める。
13,48 網がいっぱいになると、人々は岸に引き上げ、座って、良いものは器に入れ、悪いものは投げ捨てる。
13,49 世の終わりにもそうなる。天使たちが来て、正しい人々の中にいる悪い者どもをより分け、
13,50 燃え盛る炉の中に投げ込むのである。悪い者どもは、そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。」
13,51 「あなたがたは、これらのことがみな分かったか。」弟子たちは、「分かりました」と言った。
13,52 そこで、イエスは言われた。「だから、天の国のことを学んだ学者は皆、自分の倉から新しいものと古いものを取り出す一家の主人に似ている。」

 イエスはユダヤ人として両親のもとで幼少期から聖書(キリスト教で言うところの旧約聖書)を学び、神との契約、即ち、神のことばに従って生きるよう教育されて来た。13歳頃いわゆる元服式でテストがあり、合格すると晴れてユダヤ人の大人として、神と契約の人生を歩み始めることとなる。ここに、成人イエスは人生の目標、「神の宝」となる幸い、「畑の宝」を見出した。しかし、父ヨゼフ亡き後、大黒柱であるイエスの前にはとりあえずは幼い弟妹たちの世話が待っていた。その勤めが一段落して、いよいよ「神の宝」を目指して旅を始めた。30歳ごろと言われる。その当時の平均寿命、つまり、イエスは人生の最後期に旅立ったのだ。

 イエスの前には、生まれ育って以来、ガリラヤの農民たちの極端な貧困、不条理の世界が続いていた。イエスは憤った。なぜ、神との契約に生きるはずのユダヤ教指導者たちの変わらない驕り贅沢な暮らしは何なのだ、それに反して、永遠に続くかのようなガリラヤの飢え渇き、裸で、病み、牢獄に入れられている見捨てられる農民たちの様を神は見捨てておかないだろう、神の望まれる状況に近づけることが「神の宝」として生きること、種を撒くことだと運動を開始したのだった。
今週の一句
草の原 つばめ飛び交う 一等地かな

―もとゐ―


 2020年8月2日(日)
 年間第18主日

 マタイによる福音書14章13-21節

14,13 イエスは、〔洗礼者ヨハネが死んだこと〕を聞くと、舟に乗ってそこを去り、ひとり人里離れた所に退かれた。しかし、群衆はそのことを聞き、方々の町から歩いて後を追った。
14,14 イエスは舟から上がり、大勢の群衆を見て深く憐れみ、その中の病人をいやされた。
14,15 夕暮れになったので、弟子たちがイエスのそばに来て言った。「ここは人里離れた所で、もう時間もたちました。群衆を解散させてください。そうすれば、自分で村へ食べ物を買いに行くでしょう。」
14,16 イエスは言われた。「行かせることはない。あなたがたが彼らに食べる物を与えなさい。」
14,17 弟子たちは言った。「ここにはパン五つと魚二匹しかありません。
14,18 イエスは、「それをここに持って来なさい」と言い、
14,19 群衆には草の上に座るようにお命じになった。そして、五つのパンと二匹の魚を取り、天を仰いで賛美の祈りを唱え、パンを裂いて弟子たちにお渡しになった。弟子たちはそのパンを群衆に与えた。
14,20 すべての人が食べて満腹した。そして、残ったパンの屑を集めると、十二の籠いっぱいになった。
14,21 食べた人は、女と子供を別にして、男が五千人ほどであった。

 マタイ福音書では、イエスを旧約聖書の完成者として描いている。旧約聖書とはモーセの律法とエリヤのような預言者を指す。まず、モーセのように、人々に神の言葉、律法を伝え,その神に従うように招く、神と人々との契約の仲介者、それは、山上の説教や例え話しをするイエスの姿に重なる。次に、エリヤのように人が神との契約に忠実に生きるよう立ち返らせ、力ある業、パンを分かち、死者を生き返させる、などを人々に神の恵みをもたらすイエスとして。

 更に、マタイは、洗礼者ヨハネは旧約の人とし、旧約を超えた者であるとイエスを位置づけている。イエスの受洗の場面では、ヨハネに「わたしより優れた方」、「火と聖霊で洗礼を授ける方」とイエスを紹介し、弟子に「あなたは来るべき方ですか」と尋ねさせている。また、ヨハネのヘロデへの告発のように権力者に対する批判的姿勢ではなく、ガリラヤの農民たちの中にいるイエスの姿勢を描き、捕らえられ処刑されたヨハネと対比させている。しかし、後にはイエスもヨハネ同様になったけれど。いずれも、既存の体制とは異なる価値観、「誰もを大事にする」生き方は十字架の道となることを教えている。 


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