ももちゃんの一分間説教

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今週の一句

「戦火遠く 染めひろがれよ ゆきヤナギ」

―もとゐ―


 2003年4月6日() 四旬節第5主日

 ヨハネによる福音書12章20〜33節


12:20さて、祭りのとき礼拝するためにエルサレムに上って来た人々の中に、何人かのギリシア人がいた。
12:21彼らは、ガリラヤのベトサイダ出身のフィリポのもとへ来て、「お願いです。イエスにお目にかかりたいのです」と頼んだ。
12:22フィリポは行ってアンデレに話し、アンデレとフィリポは行って、イエスに話した。
12:23イエスはこうお答えになった。「人の子が栄光を受ける時が来た。
12:24はっきり言っておく。一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ。
12:25自分の命を愛する者は、それを失うが、この世で自分の命を憎む人は、それを保って永遠の命に至る。
12:26わたしに仕えようとする者は、わたしに従え。そうすれば、わたしのいるところに、わたしに仕える者もいることになる。わたしに仕える者がいれば、父はその人を大切にしてくださる。」
12:27「今、わたしは心騒ぐ。何と言おうか。『父よ、わたしをこの時から救ってください』と言おうか。しかし、わたしはまさにこの時のために来たのだ。
12:28父よ、御名の栄光を現してください。」すると、天から声が聞こえた。「わたしは既に栄光を現した。再び栄光を現そう。」
12:29そばにいた群衆は、これを聞いて、「雷が鳴った」と言い、ほかの者たちは「天使がこの人に話しかけたのだ」と言った。
12:30イエスは答えて言われた。「この声が聞こえたのは、わたしのためではなく、あなたがたのためだ。
12:31今こそ、この世が裁かれる時。今、この世の支配者が追放される。
12:32わたしは地上から上げられるとき、すべての人を自分のもとへ引き寄せよう。」
12:33イエスは、御自分がどのような死を遂げるかを示そうとして、こう言われたのである。

 イエスの死に神のわたしたちへの愛をヨハネは見出しました。
 さて、わたしたちは一粒の麦のような小さな小さな者でしかありません。しかし、その麦のように私たちは豊かに実を結ぶことが出来るとヨハネは宣言しています。何故なら、あの無学で無名なイエスでさえ神への信頼と人々への奉仕によってペトロらの人生を変える実になったからです。私たちも自分のことだけに汲々と生きている限り、一粒でしか残りません。けれども、私たちでさえ神の恵みの内に、人々と命を分かち合うなら豊かな実となるのです。
 今、イラク戦争によって人々の命は粗末にされています。私たちが彼らのことを思い、平和のために何かすることは、互いの命を尊ぶことになるのです。

今週の一句

「山ツツジ 出迎えうれし 野辺の道」

―もとゐ―


 2003年4月13日() 受難の主日 (入城式の福音)

 マルコによる福音書11章1〜10節


11:01一行がエルサレムに近づいて、オリーブ山のふもとにあるベトファゲとベタニアにさしかかったとき、イエスは二人の弟子を使いに出そうとして、
11:02言われた。「向こうの村へ行きなさい。村に入るとすぐ、まだだれも乗ったことのない子ろばのつないであるのが見つかる。それをほどいて、連れて来なさい。
11:03もし、だれかが、『なぜ、そんなことをするのか』と言ったら、『主がお入り用なのです。すぐここにお返しになります』と言いなさい。」
11:04二人は、出かけて行くと、表通りの戸口に子ろばのつないであるのを見つけたので、それをほどいた。
11:05すると、そこに居合わせたある人々が、「その子ろばをほどいてどうするのか」と言った。
11:06二人が、イエスの言われたとおり話すと、許してくれた。
11:07二人が子ろばを連れてイエスのところに戻って来て、その上に自分の服をかけると、イエスはそれにお乗りになった。
11:08多くの人が自分の服を道に敷き、また、ほかの人々は野原から葉の付いた枝を切って来て道に敷いた。
11:09そして、前を行く者も後に従う者も叫んだ。「ホサナ。主の名によって来られる方に、/祝福があるように。
11:10我らの父ダビデの来るべき国に、/祝福があるように。いと高きところにホサナ。」

 地に落ちて死ぬことは幸い、とイエスは招きます。
 イエスたちは宣教旅行の目的地エルサレムに近づきました。エルサレムで彼らを待っているものが何であるかイエスには予想されていました。いわば、当時のユダヤ教を批判したイエスを待ち受けているのは、当然、当局からの弾圧に違いありません。しかし、残念ながら、弟子たちは誰一人わかっていませんでした。したがって、イエスのエルサレム入城はたった一人で敵地に乗り込むことだったのです。
 さて、そのエルサレム入城に駆り出されたのは、一匹の子ロバでした。子ロバは繋がれていました。荷物運搬のためか、余所へ売られて行くためかそれはわかりませんが、子ロバは自分の定められた将来をじっと待つか、黙々と従うしかありませんでした。しかし、その子ロバはその一生のうちわずかな一時を思いがけず神様に用いられたのでした。「主がお入用なのです。」子ロバは神様からの招きにきっと小躍りしたことでしょう。子ロバは招きに応え、乗っているイエスの心境を察しました。そして、イエスが堂々と入城出来る様に、足を運びました。子ロバは大役を果たしたのです。
 このように、神様は小さな私たちを用い、平凡に生きている私たちが大役を務められるようチャンスをくださるのです。「一粒の麦が地に落ちて死ねば多くの見を結ぶ。」のです。神様の呼びかけを待ちましょう。出かけられるよう旅装束を整えていましょう

今週の一句

「竹の子の 頭出しおり 花畑」

―もとゐ―


 2003年4月17日(木) 聖木曜日 主の晩餐

 ヨハネによる福音書13章1〜15節


13:01さて、過越祭の前のことである。イエスは、この世から父のもとへ移る御自分の時が来たことを悟り、世にいる弟子たちを愛して、この上なく愛し抜かれた。
13:02夕食のときであった。既に悪魔は、イスカリオテのシモンの子ユダに、イエスを裏切る考えを抱かせていた。
13:03イエスは、父がすべてを御自分の手にゆだねられたこと、また、御自分が神のもとから来て、神のもとに帰ろうとしていることを悟り、
13:04食事の席から立ち上がって上着を脱ぎ、手ぬぐいを取って腰にまとわれた。
13:05それから、たらいに水をくんで弟子たちの足を洗い、腰にまとった手ぬぐいでふき始められた。
13:06シモン・ペトロのところに来ると、ペトロは、「主よ、あなたがわたしの足を洗ってくださるのですか」と言った。
13:07イエスは答えて、「わたしのしていることは、今あなたには分かるまいが、後で、分かるようになる」と言われた。
13:08ペトロが、「わたしの足など、決して洗わないでください」と言うと、イエスは、「もしわたしがあなたを洗わないなら、あなたはわたしと何のかかわりもないことになる」と答えられた。
13:09そこでシモン・ペトロが言った。「主よ、足だけでなく、手も頭も。」
13:10イエスは言われた。「既に体を洗った者は、全身清いのだから、足だけ洗えばよい。あなたがたは清いのだが、皆が清いわけではない。」
13:11イエスは、御自分を裏切ろうとしている者がだれであるかを知っておられた。それで、「皆が清いわけではない」と言われたのである。
13:12さて、イエスは、弟子たちの足を洗ってしまうと、上着を着て、再び席に着いて言われた。「わたしがあなたがたにしたことが分かるか。
13:13あなたがたは、わたしを『先生』とか『主』とか呼ぶ。そのように言うのは正しい。わたしはそうである。
13:14ところで、主であり、師であるわたしがあなたがたの足を洗ったのだから、あなたがたも互いに足を洗い合わなければならない。
13:15わたしがあなたがたにしたとおりに、あなたがたもするようにと、模範を示したのである。

 馬ではなく子ロバをイエスは選ばれました。
 別れの宴にあたり、本来は主賓であるイエスが弟子たちを招きました。その上に、召使として彼らの足を洗いもてなしたのです。それは、神様が徹頭徹尾人間に仕える姿を表しています。神様は人間を救うために御子イエスを遣わし、イエスは死をもって人への愛を示されたと同じなのです。私たちは、ただ、この神の先行する人への働きかけを受ける、頂く他ないのです。ペトロがイエスの洗足を拒否したり、促したりできないのです。イエスからの働きかけを頂くしかないのです。何故なら、私たちは神をコントロールできないし、する資格すらないからです。
 弱く罪深いこの私たちを自ら洗いながしてくださる神に感謝し、互いにゆるし合う者になりましょう。

今週の一句

「雨上り 白襟はずむ 新入生」

―もとゐ―


 2003年4月18日(金) 聖金曜日 主の受難の祭儀

 ヨハネによる福音書18章1節〜19章42節


18:01こう話し終えると、イエスは弟子たちと一緒に、キドロンの谷の向こうへ出て行かれた。そこには園があり、イエスは弟子たちとその中に入られた。
18:02イエスを裏切ろうとしていたユダも、その場所を知っていた。イエスは、弟子たちと共に度々ここに集まっておられたからである。
18:03それでユダは、一隊の兵士と、祭司長たちやファリサイ派の人々の遣わした下役たちを引き連れて、そこにやって来た。松明やともし火や武器を手にしていた。
18:04イエスは御自分の身に起こることを何もかも知っておられ、進み出て、「だれを捜しているのか」と言われた。
18:05彼らが「ナザレのイエスだ」と答えると、イエスは「わたしである」と言われた。イエスを裏切ろうとしていたユダも彼らと一緒にいた。
18:06イエスが「わたしである」と言われたとき、彼らは後ずさりして、地に倒れた。
18:07そこで、イエスが「だれを捜しているのか」と重ねてお尋ねになると、彼らは「ナザレのイエスだ」と言った。
18:08すると、イエスは言われた。「『わたしである』と言ったではないか。わたしを捜しているのなら、この人々は去らせなさい。」
18:09それは、「あなたが与えてくださった人を、わたしは一人も失いませんでした」と言われたイエスの言葉が実現するためであった。
18:10シモン・ペトロは剣を持っていたので、それを抜いて大祭司の手下に打ってかかり、その右の耳を切り落とした。手下の名はマルコスであった。
18:11イエスはペトロに言われた。「剣をさやに納めなさい。父がお与えになった杯は、飲むべきではないか。」
18:12そこで一隊の兵士と千人隊長、およびユダヤ人の下役たちは、イエスを捕らえて縛り、
18:13まず、アンナスのところへ連れて行った。彼が、その年の大祭司カイアファのしゅうとだったからである。
18:14一人の人間が民の代わりに死ぬ方が好都合だと、ユダヤ人たちに助言したのは、このカイアファであった。
18:15シモン・ペトロともう一人の弟子は、イエスに従った。この弟子は大祭司の知り合いだったので、イエスと一緒に大祭司の屋敷の中庭に入ったが、
18:16ペトロは門の外に立っていた。大祭司の知り合いである、そのもう一人の弟子は、出て来て門番の女に話し、ペトロを中に入れた。
18:17門番の女中はペトロに言った。「あなたも、あの人の弟子の一人ではありませんか。」ペトロは、「違う」と言った。
18:18僕や下役たちは、寒かったので炭火をおこし、そこに立って火にあたっていた。ペトロも彼らと一緒に立って、火にあたっていた。
18:19大祭司はイエスに弟子のことや教えについて尋ねた。
18:20イエスは答えられた。「わたしは、世に向かって公然と話した。わたしはいつも、ユダヤ人が皆集まる会堂や神殿の境内で教えた。ひそかに話したことは何もない。
18:21なぜ、わたしを尋問するのか。わたしが何を話したかは、それを聞いた人々に尋ねるがよい。その人々がわたしの話したことを知っている。」
18:22イエスがこう言われると、そばにいた下役の一人が、「大祭司に向かって、そんな返事のしかたがあるか」と言って、イエスを平手で打った。
18:23イエスは答えられた。「何か悪いことをわたしが言ったのなら、その悪いところを証明しなさい。正しいことを言ったのなら、なぜわたしを打つのか。」
18:24アンナスは、イエスを縛ったまま、大祭司カイアファのもとに送った。
18:25シモン・ペトロは立って火にあたっていた。人々が、「お前もあの男の弟子の一人ではないのか」と言うと、ペトロは打ち消して、「違う」と言った。
18:26大祭司の僕の一人で、ペトロに片方の耳を切り落とされた人の身内の者が言った。「園であの男と一緒にいるのを、わたしに見られたではないか。」
18:27ペトロは、再び打ち消した。するとすぐ、鶏が鳴いた。
18:28人々は、イエスをカイアファのところから総督官邸に連れて行った。明け方であった。しかし、彼らは自分では官邸に入らなかった。汚れないで過越の食事をするためである。
18:29そこで、ピラトが彼らのところへ出て来て、「どういう罪でこの男を訴えるのか」と言った。
18:30彼らは答えて、「この男が悪いことをしていなかったら、あなたに引き渡しはしなかったでしょう」と言った。
18:31ピラトが、「あなたたちが引き取って、自分たちの律法に従って裁け」と言うと、ユダヤ人たちは、「わたしたちには、人を死刑にする権限がありません」と言った。
18:32それは、御自分がどのような死を遂げるかを示そうとして、イエスの言われた言葉が実現するためであった。
18:33そこで、ピラトはもう一度官邸に入り、イエスを呼び出して、「お前がユダヤ人の王なのか」と言った。
18:34イエスはお答えになった。「あなたは自分の考えで、そう言うのですか。それとも、ほかの者がわたしについて、あなたにそう言ったのですか。」
18:35ピラトは言い返した。「わたしはユダヤ人なのか。お前の同胞や祭司長たちが、お前をわたしに引き渡したのだ。いったい何をしたのか。」
18:36イエスはお答えになった。「わたしの国は、この世には属していない。もし、わたしの国がこの世に属していれば、わたしがユダヤ人に引き渡されないように、部下が戦ったことだろう。しかし、実際、わたしの国はこの世には属していない。」
18:37そこでピラトが、「それでは、やはり王なのか」と言うと、イエスはお答えになった。「わたしが王だとは、あなたが言っていることです。わたしは真理について証しをするために生まれ、そのためにこの世に来た。真理に属する人は皆、わたしの声を聞く。」
18:38ピラトは言った。「真理とは何か。」ピラトは、こう言ってからもう一度、ユダヤ人たちの前に出て来て言った。「わたしはあの男に何の罪も見いだせない。
18:39ところで、過越祭にはだれか一人をあなたたちに釈放するのが慣例になっている。あのユダヤ人の王を釈放してほしいか。」
18:40すると、彼らは、「その男ではない。バラバを」と大声で言い返した。バラバは強盗であった。
19:01そこで、ピラトはイエスを捕らえ、鞭で打たせた。
19:02兵士たちは茨で冠を編んでイエスの頭に載せ、紫の服をまとわせ、
19:03そばにやって来ては、「ユダヤ人の王、万歳」と言って、平手で打った。
19:04ピラトはまた出て来て、言った。「見よ、あの男をあなたたちのところへ引き出そう。そうすれば、わたしが彼に何の罪も見いだせないわけが分かるだろう。」
19:05イエスは茨の冠をかぶり、紫の服を着けて出て来られた。ピラトは、「見よ、この男だ」と言った。
19:06祭司長たちや下役たちは、イエスを見ると、「十字架につけろ。十字架につけろ」と叫んだ。ピラトは言った。「あなたたちが引き取って、十字架につけるがよい。わたしはこの男に罪を見いだせない。」
19:07ユダヤ人たちは答えた。「わたしたちには律法があります。律法によれば、この男は死罪に当たります。神の子と自称したからです。」
19:08ピラトは、この言葉を聞いてますます恐れ、
19:09再び総督官邸の中に入って、「お前はどこから来たのか」とイエスに言った。しかし、イエスは答えようとされなかった。
19:10そこで、ピラトは言った。「わたしに答えないのか。お前を釈放する権限も、十字架につける権限も、このわたしにあることを知らないのか。」
19:11イエスは答えられた。「神から与えられていなければ、わたしに対して何の権限もないはずだ。だから、わたしをあなたに引き渡した者の罪はもっと重い。」
19:12そこで、ピラトはイエスを釈放しようと努めた。しかし、ユダヤ人たちは叫んだ。「もし、この男を釈放するなら、あなたは皇帝の友ではない。王と自称する者は皆、皇帝に背いています。」
19:13ピラトは、これらの言葉を聞くと、イエスを外に連れ出し、ヘブライ語でガバタ、すなわち「敷石」という場所で、裁判の席に着かせた。
19:14それは過越祭の準備の日の、正午ごろであった。ピラトがユダヤ人たちに、「見よ、あなたたちの王だ」と言うと、
19:15彼らは叫んだ。「殺せ。殺せ。十字架につけろ。」ピラトが、「あなたたちの王をわたしが十字架につけるのか」と言うと、祭司長たちは、「わたしたちには、皇帝のほかに王はありません」と答えた。
19:16そこで、ピラトは、十字架につけるために、イエスを彼らに引き渡した。こうして、彼らはイエスを引き取った。
19:17イエスは、自ら十字架を背負い、いわゆる「されこうべの場所」、すなわちヘブライ語でゴルゴタという所へ向かわれた。
19:18そこで、彼らはイエスを十字架につけた。また、イエスと一緒にほかの二人をも、イエスを真ん中にして両側に、十字架につけた。
19:19ピラトは罪状書きを書いて、十字架の上に掛けた。それには、「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」と書いてあった。
19:20イエスが十字架につけられた場所は都に近かったので、多くのユダヤ人がその罪状書きを読んだ。それは、ヘブライ語、ラテン語、ギリシア語で書かれていた。
19:21ユダヤ人の祭司長たちがピラトに、「『ユダヤ人の王』と書かず、『この男は「ユダヤ人の王」と自称した』と書いてください」と言った。
19:22しかし、ピラトは、「わたしが書いたものは、書いたままにしておけ」と答えた。
19:23兵士たちは、イエスを十字架につけてから、その服を取り、四つに分け、各自に一つずつ渡るようにした。下着も取ってみたが、それには縫い目がなく、上から下まで一枚織りであった。
19:24そこで、「これは裂かないで、だれのものになるか、くじ引きで決めよう」と話し合った。それは、/「彼らはわたしの服を分け合い、/わたしの衣服のことでくじを引いた」という聖書の言葉が実現するためであった。兵士たちはこのとおりにしたのである。
19:25イエスの十字架のそばには、その母と母の姉妹、クロパの妻マリアとマグダラのマリアとが立っていた。
19:26イエスは、母とそのそばにいる愛する弟子とを見て、母に、「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です」と言われた。
19:27それから弟子に言われた。「見なさい。あなたの母です。」そのときから、この弟子はイエスの母を自分の家に引き取った。
19:28この後、イエスは、すべてのことが今や成し遂げられたのを知り、「渇く」と言われた。こうして、聖書の言葉が実現した。
19:29そこには、酸いぶどう酒を満たした器が置いてあった。人々は、このぶどう酒をいっぱい含ませた海綿をヒソプに付け、イエスの口もとに差し出した。
19:30イエスは、このぶどう酒を受けると、「成し遂げられた」と言い、頭を垂れて息を引き取られた。
19:31その日は準備の日で、翌日は特別の安息日であったので、ユダヤ人たちは、安息日に遺体を十字架の上に残しておかないために、足を折って取り降ろすように、ピラトに願い出た。
19:32そこで、兵士たちが来て、イエスと一緒に十字架につけられた最初の男と、もう一人の男との足を折った。
19:33イエスのところに来てみると、既に死んでおられたので、その足は折らなかった。
19:34しかし、兵士の一人が槍でイエスのわき腹を刺した。すると、すぐ血と水とが流れ出た。
19:35それを目撃した者が証ししており、その証しは真実である。その者は、あなたがたにも信じさせるために、自分が真実を語っていることを知っている。
19:36これらのことが起こったのは、「その骨は一つも砕かれない」という聖書の言葉が実現するためであった。
19:37また、聖書の別の所に、「彼らは、自分たちの突き刺した者を見る」とも書いてある。
19:38その後、イエスの弟子でありながら、ユダヤ人たちを恐れて、そのことを隠していたアリマタヤ出身のヨセフが、イエスの遺体を取り降ろしたいと、ピラトに願い出た。ピラトが許したので、ヨセフは行って遺体を取り降ろした。
19:39そこへ、かつてある夜、イエスのもとに来たことのあるニコデモも、没薬と沈香を混ぜた物を百リトラばかり持って来た。
19:40彼らはイエスの遺体を受け取り、ユダヤ人の埋葬の習慣に従い、香料を添えて亜麻布で包んだ。
19:41イエスが十字架につけられた所には園があり、そこには、だれもまだ葬られたことのない新しい墓があった。
19:42その日はユダヤ人の準備の日であり、この墓が近かったので、そこにイエスを納めた。

 互いの足を洗うようにイエスは呼びかけています。
 イエスを捕縛し、裁判にかけ、処刑しようとする場面の人々は暗闇に捕らわれています。というのは、大祭司にしろ、ピラトにしろ、そして、群集にしろ、そして、弟子のユダや否認したペトロ、彼らはイエスを死罪にしたり、裏切るための明確な理由はないからです。みんな良心に後ろめたいものを感じています。それぞれの立場、利害を守るためのイエスの処刑だったのです。それに較べ、イエスは光にとどまっていました。やましいことかくすべきものはなにもないからです。イエスの姿から私たちは自分の見直しを迫られます。自分を肯定できるものは何もありません。だからこそ、イエスの私たちの足洗い、愛が必要なのです。
 イエスの受難を黙想し、神の愛を見出し、感謝の生活を始めましょう。   

今週の一句

「いと細き つるに花芽の クレマチス」

―もとゐ―


 2003年4月19日(土) 復活徹夜祭

 マルコによる福音書16章1〜8節


16:01安息日が終わると、マグダラのマリア、ヤコブの母マリア、サロメは、イエスに油を塗りに行くために香料を買った。
16:02そして、週の初めの日の朝ごく早く、日が出るとすぐ墓に行った。
16:03彼女たちは、「だれが墓の入り口からあの石を転がしてくれるでしょうか」と話し合っていた。
16:04ところが、目を上げて見ると、石は既にわきへ転がしてあった。石は非常に大きかったのである。
16:05墓の中に入ると、白い長い衣を着た若者が右手に座っているのが見えたので、婦人たちはひどく驚いた。
16:06若者は言った。「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレのイエスを捜しているが、あの方は復活なさって、ここにはおられない。御覧なさい。お納めした場所である。
16:07さあ、行って、弟子たちとペトロに告げなさい。『あの方は、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて言われたとおり、そこでお目にかかれる』と。」
16:08婦人たちは墓を出て逃げ去った。震え上がり、正気を失っていた。そして、だれにも何も言わなかった。恐ろしかったからである。

 先に愛されたイエスに倣うよう、私たちは招かれています。
 神は私たちの先を行きます。イエスがまず、私たちのところに来ました。そして、病人や貧しい人々を、まず、癒されました。また、律法学者やファリサイ派の者らと、まず、話し合われました。さらに、十字架に進んで架けられました。
 イエスの復活もそうです。女性や弟子たちの戸惑い,悲嘆、恐怖で足踏みしている間に、まさに、墓穴に閉じこもっている間に、イエスはガリラヤの地で貧しい人々の中でもう働いているというのです。神は人間の思い,打算,計画に従うのではなく、それを越えて、自分のいたい所、働きたいところにおられるのです。神の愛なしには生きて行けない人々の間におられるのです。人に先行するのです。
 イラク戦の後、世界はどこに行くのか戸惑っています。しかし、私たちが向かうところは、イエスが先におられる所です。貧しく、病む人々が必要とするところであり、働きです。
 主は復活されました。さあ、私たちもがリラヤへ行こう。

今週の一句

「点から面へ 緑ましけり 地の面」

―もとゐ―


 2003年4月27日() 復活節第2主日

 ヨハネによる福音書20章19〜31節


20:19その日、すなわち週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人を恐れて、自分たちのいる家の戸に鍵をかけていた。そこへ、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。
20:20そう言って、手とわき腹とをお見せになった。弟子たちは、主を見て喜んだ。
20:21イエスは重ねて言われた。「あなたがたに平和があるように。父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす。」
20:22そう言ってから、彼らに息を吹きかけて言われた。「聖霊を受けなさい。
20:23だれの罪でも、あなたがたが赦せば、その罪は赦される。だれの罪でも、あなたがたが赦さなければ、赦されないまま残る。」
20:24十二人の一人でディディモと呼ばれるトマスは、イエスが来られたとき、彼らと一緒にいなかった。
20:25そこで、ほかの弟子たちが、「わたしたちは主を見た」と言うと、トマスは言った。「あの方の手に釘の跡を見、この指を釘跡に入れてみなければ、また、この手をそのわき腹に入れてみなければ、わたしは決して信じない。」
20:26さて八日の後、弟子たちはまた家の中におり、トマスも一緒にいた。戸にはみな鍵がかけてあったのに、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。
20:27それから、トマスに言われた。「あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。また、あなたの手を伸ばし、わたしのわき腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい。」
20:28トマスは答えて、「わたしの主、わたしの神よ」と言った。
20:29イエスはトマスに言われた。「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである。」
20:30このほかにも、イエスは弟子たちの前で、多くのしるしをなさったが、それはこの書物に書かれていない。
20:31これらのことが書かれたのは、あなたがたが、イエスは神の子メシアであると信じるためであり、また、信じてイエスの名により命を受けるためである。

 先に行かれるイエスの後について行くよう、天使は告げられます。
 私たち人間からは決して神に近づくことは出来ません。神の方から、現われ近づかれるのです。恐怖と悲嘆で心の曇っていた弟子たちにはイエスを見ることはできなかったのですが、イエスの方から現われ、彼らの目を開け、聖霊を授け、宣教へ派遣したのでした。当然、その場に居合わせなかったトマスには信じられなかったのです。しかし、トマスの方へもイエスから現われ、トマスは了解できたのです。
 どんな時でも、神が私たちのところへ来てくださるのです。弟子たちには生前のイエスの声,ぬくもり、愛を感じることができるのです。そして、再び立ち上がり、このイエスの宣教、命を与えに出かけて行けるのです。
 近づかれるイエスに手を引っ張ってもらって、前へ進みましょう。


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