「日本が売られる」

名古屋ダルク後援会代表 竹谷 基


 旧約聖書に次のような話しがある。 北イスラエル王国の王アハブはぶどう畑を拡張しようとし、農民ナボドの土地を得たかった。王はナボドに交 渉したが、断られたので、妻イザベル女王の計略に乗っかり、ナボドを偽証により処刑し、その土地を強奪し た。その暴虐を預言者エリヤから告発され、遂には、王も女王も神によって裁かれた。(参照:列王記上21 章)

 王アハブ(在位前871-852年)は新首都サマリアの拡張、豪華な宮殿の造営など、その時代、北イスラエルは 経済的に繁栄していた。それは、ナボドの畑のあったイズレル平野がカナンの大農業生産地であったから、農 産物の輸出や王国が東西交通の要路にあったので貿易による莫大な利益を得ていた。妻の女王イザベルがティ ルス王の娘(地中海貿易の主役)であることも経済的同盟の維持に関わる。経済的繁栄は更なる利益拡大を狙 う。小規模農園から大規模農園の転換もそうだ。そうして、大土地所有者とナボドのような零細小農民と格差 が拡がり、前者は後者の土地を奪い、後者は没落して行くのだ。そのアハブ王に対し、聖書は神に背反した者 と言う。何故なら、「平等な」理想社会の実現を神と契約したにもかかわらず破ったからだ。

 さて、その紀元前8世紀の古代北イスラエル国の政治が、何故か、現在の日本に重なって見えるのは不思議だ。 人間が歴史から学ばないことの証左かもしれない。デフレ脱却、経済回復すれば雇用が増え賃金も上がるから との大嘘に、異次元の金融緩和による大量の国債発行や株価つり上げ、オリンピック開催、リニア新幹線の建 設、等に国民を踊らせ、実は、大企業と株主ばかりを儲けさせ、自民党を潤わせるためだけ。また、カジノが 儲かるからと違法の賭博を政府が率先して誘致するとは、依存症者を増やしても儲けると言う倫理観のなさに 唖然とするしかない。

 その隠蔽のために、虚偽、統計の書き換え不正、資料の廃棄処分が日常茶飯事となっている。ナボドが殺害さ れたように、格差拡大、社会保障費が削られ、過労死、ワーキングプア、子どもの貧困、国の借金が増え続け ているのだ。それでも、なおさらに、国民から搾り取ろうと、トランプさんへの機嫌取りである米国からの欠 陥兵器爆買い、「水や米、海や森や農地、国民皆保険に公教育に食の安全に個人情報など、米国や中国、EUな どに叩き売りされている。」(堤未果『日本が売られる』)のだ。

 堤さんの指摘のように、政治家は国民の奉仕者を忘れ、「今だけカネだけ自分だけ」の価値観に洗脳されているのではないか。だからこそ、権力の乱用を縛る現憲法を改正し、国民を戦前の忠君愛国者に戻し、国と富裕者の使い捨てるのだ。 こうなると、ダルクの依存症者、障害者らは「役立たず」と抹殺される日も近い。しかし、政府は『一億総社 会』とこれまた大嘘を連発している。

 権力者の暴走を止めるには、その犠牲になった人々の側に立って考え、判断し、行動しなければならない。「今だけカネだけ自分だけ」の価値観の社会にあって、犠牲者となったダルク、薬物依存者の人権回復に勤めるこ とが暴走を止められるのではと思う。

どうか、みなさま、ダルクの仲間といっしょにその道を歩みませんか。



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