「清明」

名古屋ダルク後援会代表 竹谷 基


 自然は若々しく清々しい姿を見せています。しかし、人間たちは醜さを晒しています。5月25日、衆議院にて「命がかかっているのだぞ。まじめにやれ」の悲痛な叫び声のなか、『働き改革法案』が強行採決されました。今日の社会を見ていると情けないことばかりで、明るい未来への期待が失われて行く一方ではないかと思うのは、私ばかりでしょうか。枚挙には暇がないほどです。

 総じて言えば、責任ある大人が、自己の利益を得るために子どもたちを犠牲にしていることです。安倍首相を始めとした自民党、与党政権は構造改革、岩盤にドリルで穴を開けると喧伝して、これまで、やってきたことは、立憲主義の破壊、教育基本法改正、秘密保護法、戦争法、共謀罪、働き方改革法の成立、原発の依存・再稼働、社会保障費の削減、増税、等々、何れも、権力者を縛っていた憲法を無視して、国民の権利、自由を縛り、権力・国家と財界に従順な国民を造るものでしかありません。しかも、国民の生命財産を守るためと言いながらも、モリカケ、自衛隊の日報隠し、書き換えが示すように、それは、真っ赤な偽りであることが今やはっきりしました。国や権力者たちは、どこまで、白を切って国民を犠牲にするのでしょうか。日大のアメリカンフットボールの事件もその一例でしょう。

 明らかな指導者の過ちにも関わらず、保身に走り、学生を犠牲にしています。まるで、第二次世界大戦の日本軍の特攻作戦を指揮しながら責任を取らない軍部、政府と同じです。安倍政権も戦前の権力者が責任取らなかったことをまね、国民を犠牲にやりたい放題してもいいだろう思っているのではないでしょうか。

 さて、旧約聖書によればヘブライの民は共同体を造るにあたって生き方の指針を神に求めたとあります。神とは言い換えれば、最終・最高の権威のおとです。それ以外の人間、宇宙、太陽や月、等の存在はすべて偶像と彼らは退けました。そして、ヘブライの社会は神が提示する生き方の指針を、社会の全ての構成員(権力者、非権力者の区別はなく平等を保障している)が相互に守ることを神と契約をした。

 つまり、神の提示した生き方の指針に忠実に生きるとき、神はその成員を幸せにする、と信じたのだ。言うなれば、日本国憲法に従い、国民は戦争、武力を放棄して、「諸国民の公正と信義に信頼」する平和主義に生きることによって、世界の平和と幸福が築けられることを信じるのと同じです。

 神は生き方の指針として、例えば、「十戒」と呼ばれる法をヘブライに提示しました。「殺すな。盗むな。嘘をつくな。貪るな、など。」これらは、貧しく飢えた下層の人々へ示されたのではないでしょう。特に、指導者、王、祭司、官僚、軍人らが権力を振るわない制限のためでした。何故なら、神との契約履行に戻れと叫んだ預言者の相手が彼らだったからです。ヘブライの人々はエジプト、メソポタミアの王を頂点としたヒエラルキー国家の民衆への横暴をつぶさに見、聞いてきたからでした。

 日本人は先の大戦から多くのことを学び、国民主権、平和主義に生きることを誓ったはずです。しかし、今、また、独裁政治となり、特に、子どもたちが奴隷にされ、犠牲にされて行く現状に対し、阻止のため立ち上がらなくてはと思います。「薬中」、他の依存症で生き辛さを抱えている人の仲間になることはその流れに抗うことになるのではないでしょうか。

 どうか、みなさま、名古屋ダルクを支えてくださいますようお願い申し上げます。


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