「夏を乗り越えて」


デイケアセンター長 倉知 光一


  暑さもいくらか和らいできましたが皆様いかがお過ごしでしょうか?

 名古屋ダルクの仲間たちもこの暑い名古屋の夏を今年も乗り切り元気にプログラムを日々取り組んでおります。今年もまた仲間たちと一緒に海水浴に行ってきました。6年前、ダルクにつながることで回復が始まりましたが、薬をやめた生き方ってきっと面白くないだろうと決めつけていた自分がいました。長い間薬物と共に生きてきた自分にとって薬物のない人生なんて考えたことがなく、薬がなければ楽しめないという思い込みが強くありました。

 ダルクのプログラムの中にレクレーションがあるのですが、目的は薬物を使わずに様々なことを楽しむことです。このレクレーションが自分にとっては本当に嫌なことでした。名古屋ダルクでは毎月一回カラオケに行くのですが、これが本当に苦痛でした。今まで薬物を使わずにカラオケに行ったことがなく、いつも薬物でリラックスして緊張をごまかしていました。シラフだからリラックスできないしすごく緊張しまくりでした(笑)。上手く歌えなかったらどうしようって不安とみんなが自分の歌を聴いているって思い込み。実際には自分の歌が上手かろうと下手だろうと誰も気にしないのに自己中心的な自分はそんなことを気にして具合が悪くなりました。

 そんな出来事をミーティングで正直に話すことで逃げずに取り組み続けることができました。繰り返しカラオケに行くことでだんだんと人を気にせず歌うことができ、歌を歌うことでストレス解消することができるようになりました。気づいたらシラフのカラオケが楽しくなり、薬物がなくても楽しめることを経験していきました。他のレクレーションでも同じようにだんだんとシラフで楽しめるようになり、薬物がなければ楽しめないという思い込みは消えていきました。この経験を通して薬物を使う必要が少しずつ減っていき、シラフで生きる手助けになっていきました。ダルクの仲間たちも同じ経験をしながら薬物を使わない生き方を学んでいます。今年の海水浴も仲間たちは様々な姿を見してくれました。海を楽しく泳ぎ、スイカ割りをして、ビーチフラッグをする。去年よりも楽しんでいる仲間、つまらなそうにしている仲間、それぞれの仲間に必要なものが与えられているんだと実感しました。この夏を乗り越え仲間たちも大きく成長しています。

 私ごとですが8月2日に父が天に召されました。本当に辛く悲しい出来事でしたが、仲間たちの支えがあり乗り越えることができました。最後は隣で息を引き取り、看取ることができました。父は最後にメッセージをくれました。どんなに苦しくとも生きることを諦めず最後まで戦い続けた姿は何よりのメッセージでした。

 ニューズレターも新しく変えていくことが決まりました。もっと名古屋ダルクの取り組みをみなさまに知っていただくために、ダルクの活動や、プログラムを今後は紹介していきます。新しい取り組みも着々と進んでいますのでこれからも名古屋ダルクのことをみなさま暖かく見守っていてください。

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