名古屋ダルク代表 とある秋の夕暮れ時、私は「大仏」を見上げていた。子供の頃、学校の社会学習行事で訪れたことがある奈良公園。園内から外の道に至るまでシカ達が我が物顔で闊歩している。奈良在住のNAメンバーに聞いたところ、そのシカの数はなんと3万と5匹らしい。いや多分でまかせだろう。 大仏様は変わらぬ姿でそこに居ました。かつては「でっかいなー」と感じた少年の頃の私。今は「人って小さいんだな」と感じた今の私。捉え方が少し変化したのでしょうか。 私は奈良の大仏様を拝みに来たわけではありません。数年前、名古屋ダルクに助けを求め「SOS」の連絡をしてきたあるメンバーに招かれてきたのです。彼はその後、他のダルクに入寮しリハビリしましたが、今は奈良で暮らしています。その彼が結婚式を挙げるので友人代表でスピーチをしてほしいと頼まれました。式が始まり、過去を思い出していました。初めて会った頃、威勢のいい孤独な薬中だった彼は、多くの人達に愛され、幸福の中、笑顔が戻っていました。 私たちは皆、孤独なアディクト(依存病者)でした。かつて見えなかった“つながり”が見えるようになりました。「自分」という視点から「私たち」に変化できたおかげだと思います。 ダルクの活動は富や名声とも関連性はないし、時々疲れ果ててうんざりすることもあります。しかし、たまにこのようなGood News があります。だから続けていられるのかもしれませんね。
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