ナイトケアハウス「ホープ」責任者 津山 智樹 ある日のできごと、利用者に毎朝、生活費を渡す際、時々、「お金いくら貯まったんだ?5,000円貯まったら云えよ、預かるから。」誰もが云います、「貯まってねーすよ。」ある日、シンタローに同じ質問、「ウッ」と詰まった表情。「12,000円っす。」“5,000円貯まったら伝える約束です”預かることに色々な企みが崩れ落ちる音が聞こえてきそうです。 ナイトケアから12枚の千円札を握りしめ!ガチャとデイケアと扉を開いて仁王立ち、顔は真っ赤。まだ、迷ってます。「どーすんの?」シンタローの目から、みるみる大粒の涙が、ポロポロ流れています。まだ、千円札を握りしめてます!然しついに、ポロポロと涙を流しながら差し出してきました。そして、手の平を広げたまま、真っ赤な顔から流れる大粒の涙をぬぐってます。次の日、同じ日に入寮した青年が帰りました。その日のミーティングのテーマは「正直な話」その夜のバースデイミーティングの際、コージが白状して17,000円を出してきました。次の日の朝、弁護士依頼で警察署に向かう直前に、「トモキさん、帰ります」とコージ。話を聞き、此々5年は、シラフで年を越してないとのこと、私が云ったことは、「シラフで年を越す新しい経験を作ってから、もう一度考えてみろ。」
その日、コージは一緒に警察署の面会。アクリル板の向こう側に座る人をどのような心持ちで捉えていたのでしょうか?その後、学校講演メッセージで初めて、人前で自分の事を少し話しました。校長室では、緊張感張り、うつむいて口を真一文字に引き締めていましたが、校長室に戻ると、話を聞いていた生活指導の先生が、涙しています。コージはスッキリとした顔つき。私共はひとつのターニングポイントを共有しました。正に“ギフト”です。ある日の出来事です。ともに時間を共有し、お互いが支えあい、感じながら少しずつ、かつて自身に起こった事実を受け入れ続け認める。その先に何が待っているのでしょうか?平等に与えられた“今日一日”を生きてゆくうえで大きな問題となっていた薬の問題と向き合い、ひとつずつ掘り下げ話し続けると、ココロの扉が開き、それでもさらに向き合い続けると一番奥の扉が開くから、そこにたどり着く迄話すことと私達は伝えられました。一番奥の扉が開いたとき、そこに居たのは傷ついた自身でした。古いものから新しいものまでたくさんあります。誰が傷つけていたのか?自分自身でありました!過去を変えることはできませんが、傷ついた自分をそのままに放置することはできません。扉を開け傷ついたまま放置してしまった自身にそっと近寄り!HUG!をしてあげます。一人ずつ時間をかけて。そして絶望していたタマシイが再び輝き始めます。 警察署のアクリル板の向こう側で流れた泪。シンタローの真っ赤な顔からこぼれ落ちる大粒の泪。コージの決して泣くまいとする目にたまる泪。どれも一番奥のタマシイから出ていると今は確信しています。誰かが、そっと見守ってくれていることに気づく日は必ず訪れます。その日が訪れるまで“Just for today!”訪れてからも“Just for today!”今年も残すところあとわずかとなりました。生きていることに感謝、生かされていることに感謝。ホープは実に多くの方々に支えられ続けております。ダルクやホープにたどり着く人たちは、そのつながりによって再生が可能になります。御支え下さる皆様、よいお年をお迎えください。今年一年、ありがとうございました。
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