「異国の仲間との交流」

名古屋ダルク代表 柴 真也


 上空から見下ろすマンハッタン島の高層ビルの群れに圧倒された。同時に5年前 ニューヨークを襲った悲劇を思い出した。ダルクメンバー、OBを含めた5名の仲間と初めてのN.Y.へやってきた。

 N.Y.のロングアイランド市で行われるNAコンベンション(薬物依存からの回復を分かちあう大会)に参加するために。車と電車に乗り会場であるロングアイランドのヒルトンホテルになんとか無事辿り着くことができた。右も左も(英語も)よく判らなかったのに。神に感謝である。

 会場で受付をした。遠い日本から来た私たちを、初めて会ったN.Y.の仲間達は昔からの友人のように歓迎してくれた。そのNAコンベンションの大会で「NAグッズ」が販売されるお店があった。時間が遅かったのでもう閉っていた。私たちが店の前で閉った店内を覗いてる姿を見た係の仲間が来た。彼は私たちだけ店内へ入れてくれた。アメリカのメンバーには閉店だと断っていた(スイマセン)。

 参加していたメンバーは500名以上はいた。日本でも有名な大きなヒルトンホテルを三日間「薬中」がほぼ占拠していた。今の日本では考えられない光景だった。薬物依存の回復者という団体(NA)がアメリカではしっかりと市民権を得ている。会場で大男に話しかけられた。どうやら「お前に小さいサイズの“NA”Tシャツをやる」と言っていた。「ありがとう」と答えた。次の日また大男と会った。彼は袋いっぱいのTシャツを(10枚位)笑顔で僕に差し出した。エレベーターの前でソファーに座っていた俳優のような仲間は目が合った時、片手で気障なアイサツをしてくれた。会場のボランティアをしていた仲間に仕事で薬中のリハビリ施設をしていると話したら、とても感激した様子で「素晴しい」と言ってくれた。ダルクメンバーと数百名のミーティングに参加し楽しみ、交流し、3日間の大会が終わった。

 その後 会場でメンバーに教えてもらったN.Y.マンハッタンの都会にあるNAにも行った。とても長い歴史を感じる教会の2階でNAを行っていた。20名位の仲間がいた。当然だが英語だ。勇気を出して話したいと申し出た。言葉の壁はハートで越えてやろうと・・・知っている単語を組み合せて大きな声で話した。何と会場の仲間達は頷いていた。しかし、3分ももたず、最後は日本語で話した。ミーティング後 仲間達が話しかけてきてくれた。そのうちのひとりが「希望だ」と言ってくれたのは素直に嬉しかった。

 世界中に仲間がいる。
  

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