クリスマスと愛国心

ダルク後援会会長 竹谷 基


   先日、NHKのクローズアップ現代で「愛国心」をどう教えるかを取り上げていた。これは、今国会で決議されるであろう教育基本法改定に関連した放送であった。

 まず、ある先生の授業を紹介した。そこでは、小学生に、ハワイに較べ日本には四季の美しさがある、だから、日本はいい国だ、だから、愛すべきだ、と教えていた。つまり、まず、美しい自然という良い価値がある、だから、受けいれなさいと、上から押しつけるやり方であった。

 また、別の先生は、生徒の自主性を大事にするということで、考え、調べ、討論するやり方であった。題材は箸、日本の伝統文化を見直すことから愛国心へつなごうとするものであった。

 さてさて、「愛国心」なるものは、上記の自然や伝統文化から導き出され、形成されるものだろうか。私に限って言えば、ノーだろう。なぜなら、確かに、日本の四季や自然は大好きだ、しかし、それが、国を愛したいにはならない、というのは、自然を壊し続けているのは国に他ならないと思っているから。水俣病や高速道路、ダム、原発は自然を最もこわしているではないか、どうしてそんな国を愛せるのか。伝統文化も然り。また、視点は違うが、日本の歴史や現状を見ても好きにはなれない。

 こんな私みたいな輩がいるから、教育基本法を変えてまでも「愛国心」を強制しようとしているのだろう。素直に、日本は大好きだと言えられるような国にすることが、まず、政治家のやるべきことじゃないだろうか。それは、誰もが安心して夢を実現できる社会にすることだ。弱者に優しくいたわりのある社会になることだ。ところが、今の日本は逆だ、強者優先の社会にしようとしている。強い者に従う心、それが「愛国心」なのだ。

 クリスマス、人の心を何だか優しくしてくれる時だ。新約聖書ルカ福音書によればクリスマスのメッセージは、人間への喜び、希望の訪れだと言う。それは、皇帝の武力や富によってではなく、飼い葉桶の幼子、つまり、無力さ、弱さ、貧しさ、無邪気さがもたらすのだと高らかに歌い上げている。そう、私たちの喜び、希望は互いを尊重し、いたわり、助け合う、つまり、愛し合うところに発するのだ。愛は強制からではなく、愛されるところから生まれるのだ。

 名古屋ダルクは愛を生み、育てるところです。どうか、みなさまも一緒に参加しませんか。



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