僕の一日
午前6時にファンヒーターが動き出す。朝が来た。左には妻が右には1歳になる娘がいる。いつもの様に日常が動き出した。支度を済ませて部屋に戻ると妻が娘にミルクを与えている。声を掛けてから車を40分走らせ職場に向かう。
「パチンコで勝った。」とか「飲みすぎて眠い。」とか言う同僚の話にうなずいたあと、今週当番になっている朝礼の司会をする。仕事の方も動き出した。「現況に満足するな。」「常に先駆けて事の対応を。」 上司の口から発せられる言葉は、概して昔ダルクで習ったものとは異なっている。そのギャップや違和感に近頃はさほど反応しなくなってもきている。「そんなもんだろう。」と、可もなく不可もなく勤めが終えることばかりではないが、「また明日、ご苦労様。」と言い合って帰路につく。
我が家は現在、妻の実家である。いろいろあったが、それだけに何とかせねばと思いながら、義母の好意に甘えたまま1年半を過ぎてしまっている。家に入ると妻は娘に離乳食を与えている。ちなみに彼女もダルクを通過しているNAメンバーだ。互いに協力して週一回NAに行き、2年目のクリーンを目指している。遅くとも11時には布団に入ろうとがんばって用事を済ませ、ようやくその位で部屋の電気を消せるようになってきた。そして今日1日が終わる。
思えば色々あった。スリップも皆が懸念するようにキチンと互いにした。口げんかすれば「別れる」話になったりもする。でもお互いに今日1日の中で「同じ部分」を見つめることで一緒に居る事ができ、互いの不足は、自分の足りない部分の埋め合わせだと許せることも増えてきた。「普通」ってこんなことかなと思いながら、家族として、時には仲間として暮らし、どうにかクリーンで生き続ける日々が延びている、不安定ではあるが。
時折NA会場で会う外山さんやスタッフ達に、何もできないけれど「ありがとねっ!」と心の中でお礼を言いながら、まだ始まったばかりの回復の道を歩んでいく。
そしてまた、ファンヒーターのタイマーをセットした。
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